SECがビットコインの現物ETF(上場投資信託)を承認
現物ETF承認でビットコインのステータスは高まる
米証券取引委員会(SEC)は1月10日に、暗号資産(仮想通貨)で時価総額最大のビットコインの現物ETF11本を承認すると発表した。今回承認されたのは、米資産運用大手のブラックロックやフィデリティ、アーク・インベストメンツなどが申請していた10本と、グレースケール・インベストメンツが求めていたビットコインで運用する未上場投資信託のETF転換である。いずれもニューヨーク証券取引所など、米国主要市場に上場する。 これまで投資家は現物のビットコインを、暗号資産交換業者(取引所)を通じて売買してきた。しかし、2022年11月の暗号資産交換業者大手FTXの破綻は、暗号資産交換業者の信頼性を大きく損ねることとなった。同社は顧客資産の分別管理が不十分であったため、同社の破綻とともに顧客が資産を失うことになってしまったのである。 ビットコインの現物ETFであれば、投資家はSECの監督下にある証券会社の証券口座を通じて株式などと同様に売買することができ、仮に証券会社が破綻しても投資家の資産は保護される。 また、現物ETFとして大手取引所で取引できるようになれば、当局に承認された投資対象として、ビットコインのステータスはかなり高まることになる。7兆ドル(約1,000兆円)の市場規模を持つETFには、金や不動産に投資するETFが既に多く存在している。これにビットコインの現物ETFが新たに加われば、機関投資家や個人投資家がそれを投資対象に組み入れやすくなるだろう。
暗号資産に2つの追い風
2022年から始まった米国の大幅利上げは、ビットコインなど暗号資産市場には強い逆風となった。実際、2022年にはビットコインの価格は64%も下落した。価値が不明確であることからボラティリティが高く、また、利払いや配当などのキャッシュフローを生まない暗号資産は、金利が上昇し、国債など安全資産での運用利回りが高まる局面では、選好されにくくなる。 しかし、米国での利上げが終了し、暗号資産市場に資金が戻りやすくなるタイミングと、今回のビットコインの現物ETF承認が重なったことは、暗号資産市場にとっては強い追い風となる可能性がある。