「ピアノに喩えるなら俳優は1本の 指のような存在」恋愛映画に初挑戦 古川琴音が感じたプレッシャー
「おばあちゃんになったら、また観返したい作品」
――本作に限らず、古川さんは映画制作の中で、どういう時に楽しさを感じますか? 演じている間に感情が湧き上がる時でしょうか。台本は最初に3回続けて読むのですが、1回目に全体像を掴み、2回目では自分の役割を考えながら読んで、3回目は役の目線で入り込んで物語をたどります。 でも、最初に台本を読んだ時の印象を、なんとか形にしようといつも思っています。 撮影までに台本を繰り返し読んで、背景やその人物の感情の流れをしっかり頭に叩き込むのですが、そういう頭で考えたことを超えて、相手役の方の言葉や行動によって自分の心がふっと揺さぶられた時は演じながらもちょっと感動します。 「この子はこんな気持ちだったのか!」と演じながら発見するような感覚になって、楽しいですね。ただ、そこに至るまでは本当に難しくて、そんな奇跡の瞬間が毎回起こせたらいいなと思うのですが。 ――『言えない秘密』は「秘密」が大きなキーになっています。古川さんご自身は近しい人に自分を曝け出すタイプですか? それとも秘密主義ですか? 言わなくていいことはもちろん言いませんけれど、もともとそんなに秘密は持っていないです。相談などはすぐにしてしまうタイプ。でも、湊人くらいシンパシーを感じる相手がいたら、私だったら、大きな秘密も「実はね」と打ち明けてしまうと思います(笑)。 ――改めて、完成作をご覧になっていかがですか? こんなことを言うのは本当に恥ずかしいのですが、胸がいっぱいになってしまって、自分の出演作を観て初めて泣きました。雪乃がこんなふうに恋に落ちて、あの生き方を選んだことが完成された映画を観て、自然に飲み込むことができて。それがすごく嬉しかったです。 ――2回拝見しましたが、物語を知った上で観返すと、雪乃の言動の真意がわかり、より泣けてきますよね。 そうなんです! 私も初号(試写の1回目)で観た時に、まだ誰も泣いていないかなり早い段階でじわっときてしまって。京本さんも同じようなことをおっしゃっていました。湊人と雪乃の気持ちを知った上で物語を追うと、またグッとくるところがあると思うので、ぜひ2回観ていただきたいです! これまで自分が演じた役の中でも、雪乃はフレッシュで大切にしたいキャラクターでした。将来おばあちゃんになったら、若い時のキラキラした感情を思い出したくなって、こっそり観たくなるんじゃないかなと思います(笑)。 古川琴音(ふるかわ・ことね) 1996年生まれ、神奈川県出身。2018年俳優デビュー。最近の主な出演作に大河ドラマ『どうする家康』(23年 NHK)、映画『偶然と想像』(21年)『みなに幸あれ』、『雨降って、ジ・エンド。』(共に24年)など。映画『お母さんが一緒』が7月12日、『Cloud クラウド』が9月27日に公開。
黒瀬朋子