まさに薩摩維新のぼっけもん! 農業を志し渡米、全米トップの美容師に。引退後は故国の地方に魅せられた。気づけば20年でJR全路線を制覇 伊佐市出身のヨシ・トーヤさん
全米トップ美容師として活躍した鹿児島県伊佐市菱刈出身のヨシ・トーヤさん(87)=本名・遠矢芳光、米カリフォルニア州パロアルト市在住=がこのほど、国内JR路線をすべて乗り終わった。美容師を引退後に“乗り鉄(乗って楽しむ鉄道ファン)”となり、20年余りかけて全線を制覇したトーヤさんは、「もっともっと日本の地方が見てみたい。旅行には新しい発見がある」と目を輝かせる。 【写真】〈関連〉鉄道の旅の魅力を語るヨシ・トーヤさん=南日本新聞社
今回は帰郷に合わせ、8月上旬から日本に滞在しており、九州や山口県の路線を巡った。日田彦山線、小野田線の旅を楽しんだ後、8月29日、最後となる熊本県の三角線を乗り終わったという。9月5日、南日本新聞社を訪ねたトーヤさんは「鉄道の旅はいつの間にか好きになった。地方にはそれぞれ地方の言葉がある」と語り、地域住民との交流や方言を楽しみながら各地を巡った思い出を振り返った。 伊佐農林高校を卒業後、1956(昭和31)年、19歳で農業を志して渡米した。25歳で生活のために美容師の道に入り、世界的美容師ヴィダル・サスーン氏のサロンで腕を磨いた。33歳で独立し、89年の全米年間最優秀美容師など多くの賞を受け、全米トップに上り詰めた。鹿児島をはじめ全国で講習ツアーを開くなど、後進の育成にも力を注いできた。 引退後は200カ国・地域以上を旅するなど世界を飛び回る。日本にもたびたび足を運び、全国の城跡や古戦場跡も300以上巡った。「『泣こよかひっ飛べ』精神でこれまでやってきた。仕事も楽しかったが、やりたいことをやれる今は、もっと楽しい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島