巨人・小林誠司が復活の兆し 阿部慎之助監督に「捕手の起用法が絶妙」指摘が
数字に表れない魅力
2016~19年と4年連続リーグトップの盗塁阻止率をマークしたことがフォーカスされるが、小林の魅力は数字に表れない部分にある。投手への気配りを欠かさず、繊細かつ強気なリードで投手を引っ張る。 広陵高に入学時は投手兼遊撃手だったが、1年冬に監督の中井哲之の助言で捕手に転向。2年秋から正捕手になり、バッテリーを組んだエースが野村祐輔(現広島)だった。3年春のセンバツは甲子園ベスト8、夏は準優勝。小林は週刊ベースボールの企画で野村と対談した際、「野村にいろいろ教わりました」と感謝を口にした上でこう語っている。 「今、その構えのクセが残っているかは分からないんですけど、どのピッチャーに対してもまず聞くんですよ。『どういうふうに構えてほしい?』と。ピッチャーが投げやすいように。配球とかはピッチャーとコミュニケーションを取るのは当然なんですけど、ひょっとすると、構え方まではあまりほかのキャッチャーは合わせないのかもしれないです。ただ、やっぱり中には野村のように小さく構えてほしいタイプもいるし、逆にアバウトでOKなピッチャーもいる。両方に対応できる今の僕があるのは、高校時代に野村さんに鍛えていただいたおかげですね」 小林は侍ジャパンに選出されて17年のWBCに出場した際、他球団の投手たちから「投げやすい」と話題になった。この大会で正捕手を務め、全7試合出場で20打数9安打、チームトップの打率.450、1本塁打、6打点と打撃の大活躍がフォーカスされたが、守備面の貢献度が際立っていた。準決勝の米国戦でアダム・ジョーンズの盗塁を阻止し、巧みなブロッキングで捕逸は0、絶妙なタイミングで間を取って投手を冷静にさせていた。 攻守で能力が高い大城が正捕手であることは間違いない。だが、小林にも大城にはない個性がある。V奪回に向け、縁の下の力持ちで再び輝きを取り戻せるか。 写真=BBM
週刊ベースボール