コテでケーキ入刀?大阪の商店街が地元育ち青年の結婚式
コテでケーキ入刀?大阪の商店街が地元育ち青年の結婚式 THEPAGE大阪
大阪市城東区の関目商店街で5日、結婚式「大阪上等ウエディング」が開かれ、城東区ゆかりのカップルが買い物客らに見守られて、新たな人生のスタートを切った。結婚式は関目商店街振興組合と大阪商工会議所東支部、関西大学政策創造学部深井麗雄ゼミの共催で、今年2月に続いて2回目。新郎が地元育ちの弁護士ということで、それに合わせた演出をふんだんに盛り込んだ結婚式に、買い物客らも心から祝福。終了後は「次はいつするんや」という期待が高まる声が聞かれるなど、終始盛り上がりをみせた。
母と娘の買い物客「きれいやなあ」
アーケードの下で結婚式を挙げたのは、ともに30代の安田有次郎さんと荒川奈津子さん。安田さんは弁護士で、少年時代から城東区内で暮らし、今年1月、京阪関目駅前に法律事務所を構えた。「関目商店街の駄菓子屋でお菓子やおもちゃを買ったのが懐かしい。地元に根を張って仕事をしていきたいと考えていたところ、商店街で挙式できると知って応募した」と話す。 地域スーパー前に、特設ステージを開設。招待客や買い物客らが待ち構える中、新郎新婦が商店街脇の路地から入場。新郎の職業弁護士にちなんで、奥野隆司区長が裁判長に扮し、判決風に「ふたりの結婚を認める」と結婚証明を宣言した。 ケーキ入刀では、ケーキに代わって、すぐ近所のお好み焼き屋で焼かれたお好み焼きが登場。ふたりが大きなコテで入刀し、かっさいを浴びた。通りがかった母と娘の買い物客は「きれいやなあ」「私もあんな花嫁さんになりたい」などと話しながら、うっとりながめていた。
引き出物はハート形コロッケ
披露宴は大きな専用スペースではなく、商店街の4店舗に会場を分散して開催。新郎が少年時代に通った「駄菓子の扇屋」も披露宴会場に選ばれた。引き出物は商店街の精肉店が揚げたばかりのハート形コロッケ。新郎新婦は各会場を歩いて巡回しながら、招待客にハート形コロッケを手渡していた。 新婦の奈津子さんは京都市出身。当初、商店街で挙式すると聞いて、「どんな結婚式になるのか全く想像できなかった」ものの、「とてもフレンドリーなのでとても良かった。これからも買い物にきます」と話した。 関西大学深井ゼミと関目商店街振興組合は、商店街活性化に向けたイベントを共同で展開。今年2月に結婚式を開催したほか、子どもたちを招いての風鈴イベントは夏の風物詩に定着しつつある。
深井ゼミは結婚式を企画する際、なるべく多くの店舗と連携し、商店街全体で結婚式を盛り上げるための工夫を凝らしたという。結婚式当日も約30人のゼミ員が参加して、会場整理などに汗を流した。 関目商店街振興組合役員は「初めて結婚式を開いてから、お客さんから『次はいつやるんや』と聞かれることが多かった。学生たちの斬新な企画で、少しでも商店街の人通りが増えたら」と期待を寄せている。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)