叡王戦五番勝負あす開幕 今年度初対局の藤井聡太叡王「実戦感覚は不安ない」
将棋の藤井聡太叡王=竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖=が挑戦者に同学年の伊藤匠七段を迎える第9期叡王戦五番勝負が7日、名古屋「か茂免」で開幕する。両者は6日、現地入りして対局場検分や会見に臨んだ。 叡王戦4連覇を目指す藤井は、本局が今年度初対局。「対局間隔が空いたので、また心機一転頑張っていきたい」と語った。3月17日の棋王戦第4局後からこの日まで、永瀬拓矢九段などと練習将棋を重ねたそうで「実戦感覚という面では不安がない状況で今日を迎えられた」と充実した時間を過ごした様子だった。今年度の目標については「1年間通して見た時に、どこかはっきり成長できたと思えるところがあるように取り組んでいきたい」と掲げた。 昨年10月の八冠制覇以来、タイトル戦負けなしの藤井。伊藤との番勝負は昨年の竜王、今年の棋王に続き3度目となる。藤井は「作戦は棋王戦の対局をベースに考えていくことになる。叡王戦に向けて、さらにブラッシュアップしていく必要があると思っています」と話した。 昨年度は初のタイトル挑戦など躍進の1年だった伊藤は、今年度の目標を「今年度はそれ(昨年)以上の活躍をできたら」と力強く言い切った。藤井とのタイトル戦では勝ち星が遠いが「前の2つの番勝負のときはタイトル獲得を期する思いが強かったが、今回は純粋に良い将棋をお見せできるようにしたい思いの方が強い」としつつ、「2回タイトル戦を経験し、藤井叡王から1勝をあげるということはものすごく大変なことだなと実感したところです」と勝利への思いを真剣な表情で語った。一転、叡王戦までのプライベートの過ごし方について聞かれると、柔らかい笑顔で「将棋以外ですとプロ野球が開幕したのでそちらを注目して見ています」。名古屋出身の父の影響で中日ファンの伊藤は「今年は例年よりも期待できるのかなと個人的には見ています」と笑った。 今年度のタイトル戦は桜満開の名古屋から。藤井は「ここ数年はお花見に行く機会はあまりなかったのですが、今年は桜の開花も例年より遅めでいまでも見頃が続いていると思う」と桜情報も把握しつつ、「今は対局のことで見る余裕はあまりなく…(笑い)また機会があればじっくり見たい」と、今はもちろん番勝負に集中する。花より将棋。今年度も同学年の2人の戦いが始まる。(瀬戸 花音)
報知新聞社