相撲協会「白鵬いじめ」のウラにある「男の嫉妬」…なぜ宮城野親方はここまで恨まれているのか?
これほどまでに理不尽な処分があっていいのか――宮城野部屋の「お取り潰し」に多くの相撲ファンが衝撃を受けている。過去の暴行事件と比べても異例の厳罰について、前編記事『もはや相撲協会による「白鵬いじめ」だ…宮城野部屋に下った「異様な閉鎖処分」への強烈な違和感』に続き、各界の好角家の声を聞いた。 【写真】横綱・照ノ富士が膝につけている「異様な器具」の正体
「男の嫉妬」が渦巻く
宮城野部屋の問題をめぐって角界が揺れている。相撲協会は2月23日、宮城野部屋に所属する北青鵬が弟弟子に暴力を振るっていたという調査結果を発表し、北青鵬の引退届を受理、宮城野親方(元横綱・白鵬)には平年寄への2階級降格と減俸という処分を下した。 それに加えて、4月から宮城野部屋の師弟は伊勢ヶ濱部屋へ預けられる見通しで、3月の春場所では玉垣親方(元小結・智乃花)が師匠代行を務めた。平成を代表する横綱が率いる宮城野部屋は、事実上の閉鎖に追い込まれている。 首をかしげる相撲ファンも少なくない今回の一件だが、協会執行部が異例なほど重い処分を断行したのは、この機会に宮城野親方の力を削ごうと画策したからと囁かれる。 「宮城野親方はヒトとカネを集めるのが抜群にうまい。トヨタの豊田章男社長(当時)や小泉純一郎元首相、ミュージシャンのYOSHIKIなど多くの著名人が集まった断髪式は、参加費の収入だけでも4億円と言われています。また知名度が高いため日本中から入門を志願してくる新人も多く、有望な人材を独り占めしているとの嫉妬めいた批判もありました。 加えて宮城野親方には、今年1月に行われた協会の理事候補選に出馬する意志があったと言われています。しかし彼は部屋を持ってからまだ1年半しか経っていない。若いくせに生意気だと思い、今のうちに潰しておこうと考える親方もいます」(大手紙相撲担当記者) 調査結果を発表した2月23日、芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は「『(宮城野親方を)相撲協会から排除するべきではないか』という意見も出た」と明かした。八角理事長(元横綱・北勝海)率いる現執行部内での反感は根強い。 なぜ「白鵬アレルギー」はここまで高まってしまったのか。東京工業大学教授の中島岳志氏は、「彼がモンゴル出身であることも関係しているのではないか」と話す。 「20世紀インドの独立指導者にラース・ビハーリー・ボースという人がいますが、彼と比較するとわかりやすいでしょう。過激派として祖国を追われたボースは日本へと逃れ、新宿中村屋の創業者夫妻にかくまわれます。 彼は日本人とうまく付き合ったタイプの外国人でした。普段から着物を着て日本語も堪能になるまで学び、郷に入っては郷に従えを自ら実践した。『ともにアジアの解放を目指そう』と主張したので、日本の右翼からもかわいがられたんです。一方で彼らも、日本に意見するインド人独立運動家に対しては冷淡だった。 白鵬は現役時代から相撲協会に対して物怖じせずに発言しており、従順なタイプではありません。そこに男の嫉妬が絡んで、彼の足を引っ張る人が出てくるのでしょう」