広島大の貴重な資料守りたい 考古学研究室、CFで寄付募る 老朽化の資料展示ケース修繕へ
広島大(東広島市)の考古学研究室は、遺跡資料の木製収納・展示ケースの老朽化に伴う修繕費が賄えないとして、クラウドファンディング(CF)で寄付を募っている。戦前から収集してきた土器など約5千点を収めている。予算が限られる中、「過去を語る貴重な資料を守るために」と400万円を目標に協力を求める。 【写真】底が抜けた引き出しを取り外しているケース 計画では、展示用ガラス扉や収納用引き出しが付くケース(幅180センチ、奥行き65センチ、高さ105センチ)や棚など12台を修繕する。これらは戦後復興期に広島市内の業者が製造し、同研究室が広島市にあった当時から引き継いできた。 現在は東広島キャンパスの研究棟内にあり、県北部の帝釈峡遺跡群から出土した土器や石器、東広島市の三ツ城古墳で発掘された人の頭蓋骨などを収納。学生や教員が教育、研究活動で活用している。考古学に関心がある学外の人も、事前に相談があれば見学を受け入れている。 ただ、引き出しの底が抜けたり、鍵が壊れたりし、傷みは進行。資料の破損や盗難を防ぐためにガラスや鍵の一部を直してしのいできたが、限界が来て修繕を計画した。学内では研究に関する予算に比べて備品の維持管理の予算確保は難しく、CFの活用を決めた。 CFサイトのレディーフォーで11月18日まで募る。野島永(ひさし)教授(60)は「資料の適切な保存は、自分の目で歴史を評価できる人材を育てる教育に役立つ。力をお借りしたい」と話す。同研究室☎082(424)6663。
中国新聞社