<掛布雅之が語る>日本シリーズ 楽天がマー君を第2戦にもってきた理由
セ、パの優勝チームがCSを勝ち抜き日本シリーズに顔を揃えた。連覇を狙う巨人に対して初出場となる楽天。しかも楽天には24勝無敗という大記録を作った“切り札”田中将大投手がいる。久しぶりにワクワクするようなカードが実現した。ただ、評論家として勝敗を予想、展望するとなると非常に難しい対戦カードである。 [写真記事]楽天・星野監督に聞く なぜ日本一に縁がないのか
マー君、則本の2枚看板は完投勝利が条件
私は1、2戦目次第で、どちらにも転ぶ可能性があるシリーズだと見ている。 投打に圧倒的な戦力を誇る巨人だが、特に後ろにマシソン、山口、西村と3枚の信頼おける投手を持っていることが、楽天との大きな差だ。楽天は、必然的に先制しなければならないという早い仕掛け、6回までの勝負を要求され、マー君、則本という2枚看板には、できれば完投勝利という条件が付く。そう考えると巨人が有利だろう。巨人は、則本、マー君に対して1勝1敗となってもあせる必要はない。 日本シリーズは短期決戦と言われるが、同じチームと7試合続けて戦うことはシーズンに経験はしないこと。選手は意外と長く感じるものだ。そこには必ず“流れ”というものが生まれる。その流れをいかに引き寄せるかは経験がモノを言う。シリーズという舞台の経験数でも、巨人が有利であることは間違いない。
マー君は一発の危険のある東京ドームを回避
逆に楽天が勝利するためには、マー君と則本のフル回転しかないだろう。私はマー君の球数を見ながら1戦、3戦、7戦と、中3日で回すよりも、完投というものを意識させながら1戦、5戦に必勝を喫して先発させ、その後の2試合はストッパー待機させる方法がベストだと思っていた。 しかし、星野監督が監督会議で予告先発制を提案して、則本の開幕戦起用を発表した。聞くところによると、マー君がCS登板からの間隔を中5日にすることを希望して開幕戦を回避したらしいのだが、私には、第1戦に則本、第2戦にマー君という起用法は予測できた。楽天サイドは、7試合というトータルでシリーズを捉えて、地元仙台で戦うことのできる第2戦、第6戦にマー君を配備することで、その2つを確実に取りにいったのではないだろうか。マー君と言えども、一発の危険性が高い東京ドームでは勝率は下がるだろう。