<春に挑む・’23センバツ長崎日大>支える人/上 トレーナー・繁井孝之さん(50) プレー直結の体作り /長崎
長崎日大(諫早市)の選手たちが、両手で握ったバットを左右に振りながら耳の辺りまで近づけるユニークなトレーニングをしていた。視界の外にあるバットや腕の位置感覚を磨くのが狙いだ。考案した外部トレーナーの繁井孝之さん(50)=北九州市=は、都市対抗野球大会で2021年に準優勝した「Honda熊本」(熊本県大津町)などを指導する実績を持つ。 繁井さんは小倉南高(北九州市)で内野手としてプレーした元球児。就職した菓子メーカーのアスリート支援事業でトレーナーとなり、後に巨人入りする慶応大時代の高橋由伸さんらを指導した。長崎日大は、18年まで指揮を執った金城孝夫監督と知り合ったのを機に指導を開始。現在はHonda熊本や九州共立大(同)、甲子園を目指す他の高校などと並行し、月1回ほどのペースで長崎日大で教える。 繁井さんは「野球選手に必要なのは単に身体能力を上げるのではなく、自分の思い通りに体を操縦すること」と語り、自分の体重を利用して筋肉に負荷をかける反復トレーニングに重点を置く。月ごとに少しずつプログラムを変え、体作りをする冬場は下半身を鍛えるメニューを増やすなど工夫をこらす。 3日の練習では、上半身や下半身を鍛える複数のメニューを指導。上戸貴文選手(2年)は「体の使い方を教えてもらうことで、自分の知識だけでは鍛えられない部分のトレーニングができている。順調に仕上がってきた」と語った。 長崎日大OBで社会人野球の東京ガス(東京都)時代に内野手として都市対抗に4回(補強選手を含む)出場した山内徹也部長(40)は「選手たちは知らず知らずのうちにプレーに直結した体の動きを学んでいる。貴重な経験だ」と繁井さんの指導に信頼を寄せる。 長崎日大が昨春のセンバツ1回戦で、準優勝した近江(滋賀)に延長十三回タイブレークで敗れた試合。繁井さんはスタンドで見守り、共に悔しさを味わった。「今年のチームは元気が良くトレーニングにも前向き。甲子園で一つでも多く勝ってほしい」と願う。【高橋広之】 〔長崎版〕