50代60代からは、「がんばりすぎない」。まずはものを減らして身軽になる
年齢を重ねるたび、あれもこれもとがんばりすぎると、しんどいことが増えてきます。そんながんばりすぎているときこそ、心身ともに手放していくことが大切だと教えてくれたのは、50代60代の暮らしに関する著書を多く持つ、著述家の中道あんさん。自身の体験を元に、手放すことの大切さについて語ってくれました。
「がんばりすぎ」「もちすぎ」を見直そう
私は、幼い頃から「あなたは長女だから」と言われて育ちました。そのせいか、いつも「ちゃんとしなきゃ」と虚勢をはっていました。近所のおばさま方から「偉いね~」と言われるたびに、しんどくなるばかり。だって本音は、家の手伝いも勉強もなにもかも放り投げて「遊びたい!」と、言いたかったのですから。 でも、言えない…。それを言ってしまうと、自分の存在価値がなくなってしまうようで不安だったのです。だから、あれもこれもひとりで背負い込んでしまい、ひそかにずっと心の中で「私はスーパーマンちゃう!!」と叫んでいました。 そんな私を助けてくれたのが、老化です。老いることはなにも悪いことばかりではありません。だって、体のほうが心より先に“がんばり続けるのはしんどい”とSOSを出してくれるのだから。若い頃のような気合や根性ではどうにもならず、「もうこれ以上がんばったらアカンのや」と実感しました。 以降、“等身大で生きる”と心に誓い、それを実行しています。とくに気をつけているのは、物心両面ともにもちすぎないこと。
あれこれ抱え込んでしまうのは、「不安」が原因?
私たちが、あれこれ抱え込んでしまうのは“不安”が引き金。たとえば、日用品や食品のストック。あなたのご家庭ではどのくらい備蓄していますか? どれくらい減ったら購入しますか? 私の考えでは“なくなったら買う”で、十分だと思うのですが、一緒に暮らす娘には「なぜ、余分に買わないのか?」と指摘されます。そして、ストックを補充するとき、娘はいつも「これで安心」とつぶやくのです。 「ある」と安心、「ない」と不安であるのなら、転ばぬ先の杖となってどんどんものが増えていきます。ところがものが増えると、実際にはそれを管理する手間や時間が増えて、その分、自由が失われていき、それがしんどさになるのです。 つまり、家の中に不要なものがたまるほどに、自分のエネルギーを吸い取られてしまいます。本来、家というのは外で奪われたエネルギーをチャージする場所です。それにもかかわらず、疲れが取れなかったり、なにかをやろうという気が起きないなら、その原因はチャージできない環境にあるのかもしれません。
中道あん