胆嚢がんを患う女性が要介護認定前に死亡 利用したベッド代が全額自己負担に…国が末期がんの認定迅速化に乗り出す
入院患者の調査 オンライン容認…厚労省通知
独自に対策を強化している自治体もある。 神戸市は、できるだけ申請のあった日の翌日に、調査員を派遣する。この緊急調査は毎年90件ほどあるという。 さらに、訪問の前に亡くなって申請が却下となった場合でも、患者側が負担した費用のうち、原則9割分を市の予算で家族らに交付している。20~23年度に計14人を対象に、1人あたり2万~3万円を支援した。市の担当者は「自宅で最期を迎えたい患者や家族の気持ちに応え、経済的負担を軽減したい」と話す。 全国がん患者団体連合会は3月に開かれた内閣府の規制改革推進会議の作業部会で、国に認定調査の簡略化を要望した。厚労省は5月31日、同会議の答申を踏まえ、市区町村や都道府県に対し、入院中に医師らの同席の下、オンラインによる調査を認めたり、医療機関に介護サービスとの連携を促すよう求めたりする通知を出した。 在宅医療を担う医療法人社団「悠翔会」(東京)の佐々木淳理事長は「最期を家で迎えたいと希望する患者は今後、増えるだろう。安心して介護サービスを使えるように国や自治体には、体制を充実させてほしい」と話す。
若年性認知症など40~64歳でも対象…介護サービス利用
介護保険サービスを利用できるのは原則、65歳以上の高齢者だが、40~64歳の人でも、国が定めた一定の病気が原因で介護が必要になった場合には、サービスを受けられる。 40歳以上が保険料を納める介護保険制度が2000年度に始まった時、指定された病気は若年性認知症やパーキンソン病、関節リウマチなど15種類だった。末期がん患者からサービスの利用を望む声が強く、国が06年に末期がんを追加し、計16種類になった。 末期がん患者の中には、入院中や退院直後に訪問調査を受けた時点では、食事やトイレなど身の回りのことは自分でできる人もいる。病状が悪化して手助けがより必要になった時に、要介護度を見直してもらう申請もできる。要介護度が重いほど多くのサービスを利用できるようになる。(2024年6月4日付の読売新聞朝刊に掲載された記事です)