「スマホ盗」なぜか今、東海地方に集中
携帯電話ショップに何者かが侵入し、iPhone(アイフォーン)を中心としたスマートフォンを大量に盗み出す事件が昨年末から愛知、岐阜、三重の東海3県で相次いでいる。被害は2000台以上と見られ、各社も対策を急ぐ。「スマホ盗」は数年前まで関西や北関東に集中していたが、なぜ今、東海地方が狙われているのだろう。 ■昨年末から2000台以上 21日未明、愛知県豊橋市の「auショップ豊橋佐藤」店でiPhone5sなどのスマホ20台、約111万円相当が盗まれた。その2日前の19日未明には三重県伊勢市の「auショップ伊勢バイパス」店でiPhone4台とiPad、iPad miniがそれぞれ1台、合わせて37万5000円相当が盗まれたばかり。伊勢市内では3月29日にも、豊橋市内では同12日と23日にも別の携帯ショップが荒らされ、計600万円以上の被害が出ている。 いずれも店舗正面のガラス自動ドアや勝手口を破り、店内からスマホ端末を盗み出す手口で、同一犯や同一グループの可能性が高い。警備員が駆け付けるまでの数分間という時間に大量の端末を車に積み込んで逃走する。目出し帽の男数人が防犯カメラに映っていたこともあるというが、これまで摘発には至っていない。 豊橋と伊勢は三河湾、伊勢湾を挟んで反対側。しかし、東名や東名阪道などを通れば約200キロの道のりを、渋滞がなければ3時間足らずで移動できる。こうした道路網を利用してか、名古屋近郊から岐阜県の大垣市、羽島市、三重県の四日市市や亀山市などで、ここ数カ月に被害が集中している。 携帯電話販売店を狙った窃盗事件は、「iPhone5」発売時の2012年秋ごろは大阪や兵庫などの関西、次いで茨城や栃木など北関東で多発していたが、昨年12月ごろから東海地方で目立つようになった。中部管区警察局によれば、東海3県で少なくとも2000台、被害総額は1億3000万円を超すという。 ■ドコモも被害、各社対策急ぐ 被害にあっているのはiPhoneを先行販売していたソフトバンクとauの販売店で、バイパスなど大通りに面し、夜間や未明は人通りの少ない郊外型の店舗が多い。ソフトバンクモバイルの広報担当者は「店舗の防犯対策は全国的に呼び掛けているが、特に現在は東海地方に対策強化を注意喚起している」と明かす。auショップを展開するKDDIは「現在、対策中で、詳細は今後ホームページなどで明らかにする」とコメント。東海地方はKDDIの主要株主であるトヨタの影響でauのシェアが全国と比べて高く、地域的にも痛手が大きいと言えそうだ。