オコエ、脅威の対応力。三球三振の後に代名詞の三塁打で衝撃紅白デビュー!
一昨年のドラフト1位、安楽智大(20)との“1位対決”となった第1打席は、3球三振だった。最後は、外のストレートを見逃した。オコエは苦笑いを浮かべた。 「緊張し過ぎて固まったまま、あっという間に終わった。でも次の打席につなげよう。まずは当てよう、と考えた」 それでも安楽は、「(抑えたのは)まぐれ。ひざがガクガク震えているのがわかった。それくらいガチガチだったけど、最後に打つあたりはさすが」と、オコエの非凡さを見逃さなかった。 第2打席は左腕の濱矢廣大(22)に対して、ファウルで粘りフルカウントから振り遅れてポンと打ち上げるファーストへのファウルフライ。第3打席は、一昨年のドラフト2位の小野 郁(20)との対戦になって、甘いストレートにバットを出したが、またスピードに差し込まれて、センターフライに終わっていた。 木製バットでプロのスピードへ対応しなければならないとの意識が過剰になって“間”というものがほとんどない。テイクバックを池山打撃コーチに指導で小さくしているが、それでもストレートに差し込まれるのは、上体が突っ込むことによって生まれる“衝突現象”。梨田監督が「まだ(まともに)スイングのできる状態にない」というほど、バラバラにしている打撃フォームは、プロ初級編の段階なのだが、第4打席目のオコエは、それらの問題を打席ごとに修正していた。 「プロは際どいところにストライクを投げてくる。本当に凄いなと思った。ピッチャーによってスライダーの軌道もストライクゾーンもすべて違う。まずはスピードに慣れることだと思った。1、2、3打席と抑えられたが、落ちこむことはなかった。打てると思っていて打てないならば、落ちこむが、これが当たり前。次につながる反省をしながらベンチに戻った。4打席目は、打てないのに打てた。反省を生かして、徐々に良くなった。第4打席は、やっと反省を生かせたかなと思う。これからもバッティングに関しては向上心をもってやっていかねばならない」 オコエの考え方は、関心するほど、ちゃんとしている。 しかも、初めての紅白戦の4打席を無駄にすることなく、ひとつひとつ次へとつなげた。相手投手との力関係もあるだろうが、進化を実行して見せたのだから、そんじょそこらのルーキーとは違う。紅白戦前に「今日は、結果を気にせず、思い切り振ればいい!」と言って送り出した池山打撃コーチも「身体能力とセンスがあるから、日々、成長している」と、その吸収力、対応力の高さに目を見張っている。 「今の自分のアピールはできたかなと思う。もっともっと、いい結果を残せるようにがんばりたい」 即戦力かどうかの実力を巡っては、まだ賛否両論のあるオコエだが、そのポテンシャルと「何かを持っている」怪物であることだけには、疑いの余地はないだろう。 高卒ルーキーは、まだプロ7日目なのである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)