野口武彦さん死去、86歳…「江戸の歴史家」「『源氏物語』を江戸から読む」
近世、近代日本の思想や文学の研究を続けた文芸評論家・作家で神戸大名誉教授の野口武彦(のぐち・たけひこ)さんが9日、老衰で死去した。86歳だった。告別式は近親者で営んだ。 【写真特集】亡くなられた方々 追悼2024年
東京生まれ。早稲田大在学中は学生運動に熱中し、卒業後、東京大に入学。無頼派作家、石川淳に関する文芸評論を執筆し、石川が愛好した江戸文化・文学への関心を深めた。1968年に神戸大講師となり、後に教授を務めた。
儒学者の荻生徂徠らを扱った「江戸の歴史家」でサントリー学芸賞、「『源氏物語』を江戸から読む」で芸術選奨文部大臣賞を受賞。95年の阪神大震災で被災した経験から、同じく大地震に見舞われた幕末の混乱した世相を描いた「幕末気分」で2003年、読売文学賞に選ばれた。
10年に脳梗塞(こうそく)などを患い、不自由な体をおして執筆活動を続けていた。