求む!技術系公務員 なり手不足、受験者ゼロも、和歌山県田辺市
全国の自治体で、建築や土木など「技術職員」の確保が課題となっている。和歌山県田辺市が本年度に実施した職員採用試験では、建築技術職と土木技術職がいずれも「受験者ゼロ」だった。市は現在、追加募集を実施している。 【採用試験 受けやすく 人材不足で試行錯誤、和歌山県田辺市の記事はこちら】 全国的に公務員の志望者が減少する中、特に技術職員の人材不足が深刻化している。背景には、民間との採用競争が激化していることがあるとみられる。 田辺市でも、近年は技術職員の受験者が減少。本年度は建築技術職への申込者がゼロだった。土木技術職は3人程度の募集枠に対して1人の申し込みがあったが、受験を辞退した。 市は受験者の負担を軽減することで門戸を広げようと、本年度から教養試験を廃止するなど試行錯誤しているが、採用は苦戦を強いられている。 市の人事担当者は「公共施設の老朽化対策や災害対策の強化が求められる中、技術職員の不足は大きな課題。市民生活を支える公務員ならではのやりがいを発信していきたい」と話す。 ■公共ならではのやりがい 技術職員は専門知識を生かし、道路や公共施設などの整備や維持管理といった仕事を担う。 市建築課の古山新悟さん(37)は、建築技術職として入庁して6年目。かつては木造建築専門の工務店で働いていたが、転身した。 現在の仕事では、木造の建物から鉄筋コンクリートまで、構造物も規模もさまざまな物件に携わる。「小さな改修工事から大きな新築工事まで、建築の幅広い業務に関わることができる。計画段階から工事完了まで一貫して事業に携われることは、他の仕事にはない魅力だと思う」と話す。担当した施設をたくさんの市民が利用してくれたり、「使いやすくなった」などの声を聞いたりしたときが、特にうれしいという。 建築係長の増井節朗さん(43)は「時にはアドバイザーとして担当部署に技術的な助言をしたり、コーディネーターとして工事の経過をチェックしたりと、橋渡しを担う仕事。ものが作られる過程に興味がある人にとっては、とても楽しい職場だと思う」と話す。 建築課長の音窪克保さん(58)も「公共施設の発注側として、市民の使いやすさなどを考えながら自分たちの思いや判断を盛り込むことができる。重い責任があると同時に、やりがいがある」と話している。 ■田辺市が追加募集 社会福祉士や看護師も 田辺市は、2025年4月に採用する職員を追加募集している。申し込みは12月18日まで。 追加募集しているのは(1)一般事務職4種(文化財専門員)1人程度(2)土木技術職3人程度(3)建築技術職1人程度(4)社会福祉士1人程度(5)看護師1人程度。 受験資格は試験区分により異なる。1次試験は来年1月12日にある。最終の合格発表は2月上旬の予定。 採用試験の実施要綱は市のホームページからダウンロードできる。申し込みはインターネットで受け付ける。 問い合わせは、市総務課人事係(0739・26・9916)へ。
紀伊民報