<春に駆ける’23センバツ専大松戸>第3部・指導者/下 細かい技術面指導、2人のコーチ タイプ異なる愛情 /千葉
専大松戸の野球部全体を統括するのは持丸修一監督(74)だが、細かい技術面の指導は主に2人のコーチが担う。小林一也さん(39)と清原博城さん(35)。いずれも茨城県の強豪・常総学院の出身で、選手として甲子園に出場した経験を持つ。 2003~07年に同校を率いた持丸監督の下、小林さんはコーチ、清原さんは選手として薫陶を受けた。持丸監督に誘われ、それぞれ08年、10年に専大松戸のコーチになった。 長い付き合いだけに、持丸監督のスタイルは体に染みついている。より選手に近い年齢の指導者として、2人は監督の言葉が伝わり切らない時の「橋渡し役」を自任する。 小林さんは01年のセンバツで全国の頂点に立った常総学院の優勝メンバーだった。当時のチームの強さを「技術だけでなく仲間の性格まで理解し、互いの欠点を補い合ったからこそつかんだ優勝だった」と振り返る。 だからこそ、指導者になってからもコミュニケーションを大切にしてきた。選手のことを知るため、野球のことだけでなく、性格や生い立ちまで話す。 一方、清原さんは保健体育の教員という顔も併せ持つ。栄養や体づくりに対する豊富な知識を持ち、選手のコンディションに目を光らせながら、専属トレーナーと相談してトレーニングの内容を決めることもある。 教員である清原さんにとって、高校野球はあくまで教育だ。「今後の人生で、自分の力で生きる道を見つけられる人間になってほしい」と語る。指導ではすべてを語らないこともある。また、ベンチに入る選手にもそうでない選手にも、分け隔てなく厳しい。 少しタイプの異なる2人の愛情。「小林コーチは何でも話せる相手。清原コーチは『自分で考えてほしい』という思いを感じる」と選手たちは語る。指導者たちの意図はチーム内にしっかりと伝わっている。(この連載は近森歌音が担当しました)