「畑がなくなる…」農家困惑 リンゴの木が腐る「腐らん病」、収穫量国内2位の産地で拡大 過去には廃園続出、原因は農家が減りすぎて…
「ここも感染している…」
「ここも腐らん病になっている」。7月末、上水内郡飯綱町の下赤塩地区のリンゴ畑。県長野農業農村支援センター(長野市)が町や地元農家と共に腐らん病の調査に入ると、発症した樹木が続々と見つかった。
「対策しないと畑なくなる」
地元農家約30軒でつくる赤東園芸組合の関勝則組合長(67)が既に枯れ始めている木や、発症部分の削り取りが甘いために再発した木に目印を付けていった。「感染した木がゼロの畑はなかなかなく、増えるばかり。対策しないと畑がなくなってしまう」と困惑した表情を浮かべた。
大きな原因は農家減少
腐らん病が近年増えた大きな原因は、農家が減少し、放置される畑が増えたことだ。農林水産省の統計によると、県内の販売を目的とするリンゴ農家は2005年の1万6107経営体から20年には9661経営体と4割も減少。放置された畑が感染源となり、周囲の畑に広がっているとみられている。
機械が入りにくい傾斜地は対策後回し
特に機械が入りにくい傾斜地にあるリンゴ畑は対策が後回しになりがちだ。発症部位を削り取って処分し、薬を塗る作業も高齢農家にとっては大きな負担となっている。 県果樹試験場は防除作業の簡素化や、より有効な薬の研究を進めるとしつつ「個人だけでなく、地域で点検していくなどの対策が必要だ」。県病害虫防除所は栽培の作業性向上も兼ねて「手が入りやすい所に木を固めるなど、対策をしやすくする基盤整備も求められる」としている。