空前のETFブーム、AI株人気の台湾-好機逃したくない心理働く
(ブルームバーグ): 株式上場投資信託(ETF)に関するヒントを提供するオンラインフォーラムやフェイスブックのグループ、ユーチューブの動画に早朝から深夜までくぎ付けになる人が台湾で増えている。
台湾株に連動するETFに貯金の大半、場合によっては全額を投じている人もいる。大きな利益が得られると確信するチャンスを逃すを恐れているためだ。
台北で事務職をしていたアニーさんは、退職金300万台湾ドル(約1400万円)全てをETFにつぎ込んだ。「誰もがETFを話題にしている。私の子どもたちはばかばかしいと言っていたが、今ではみんな投資している」と話す。
人工知能(AI)関連銘柄への関心の高まりが、台湾で空前の投資ブームを引き起こしている。
台湾株の指標、加権指数はこの1年で約30%上昇。世界有数の半導体メーカーで米エヌビディアの主要サプライヤーである台湾積体電路製造(TSMC)は55%高と、台湾株の上げをけん引している。
台湾の人々が現在保有する台湾株連動型ETFは500億米ドル(約7兆6000億円)を突破。1年前から80%余り増え、2019年の12倍だ。債券ファンドや海外株式を重視したものを含めると、ETFの保有総額は1300億米ドルに上る。
台湾は日本、中国に次ぐアジア3位のETF市場だが、日中両国では購入の大部分を中央銀行や政府系の買い手が占める一方、台湾で株式ファンドに投じられた資産の約80%は個人投資家に由来すると台北の証券会社CTBCインベストメンツは分析。
現在のトレンドに基づけば、12月までに台湾のETF投資家総数は全人口の3分の1に達する可能性があるとブルームバーグ・インテリジェンス(BI)は予測している。
証券業界の競争
ETFを購入するため持ち家を担保にして借り入れをする人もいるほどで、台湾当局はあまりの人気ぶりに懸念を示している。
台湾中銀の楊金龍総裁は3月、一部の投資家は「羊が群れる」ように周囲を追いかけていると立法院(議会)で証言。金融監督管理委員会(FSC)はETFを投入する企業について、リスク開示からインターネット上のインフルエンサーとの宣伝契約に至る全てを把握するため検証を行っていると明らかにした。