新境地を更新し続けるチェ・ジョンヒョプ 『Eye Love You』までの演技の変化を辿る
現在放送中のドラマ『Eye Love You』で、主人公・侑里(二階堂ふみ)と恋に落ちる韓国人留学生ユン・テオを演じているチェ・ジョンヒョプ。ドラマの番宣でも多くのバラエティ番組に出演し、日本での知名度も上がってきている今大注目の韓国人俳優だ。 【写真】『無人島のディーバ』パク・ウンビンの肩を寄せるチェ・ジョンヒョプ “大型犬系俳優”とも呼ばれている彼は、ドラマの中でも侑里の表情を気にかけ、「ついてこないで」と言われても喜んで追いかけ、怒られたらシュン……としてしまうかわいらしさを見せてくれるが、今までのキャリアでは愛くるしさだけでなく、様々な役柄を見せてきた。そんな彼の演技の変化を時系列ごとに追っていく。 本格的な演技デビューを果たしたのは、2019年に放送されたパク・ウンビン主演の『ストーブリーグ』だった。同作は万年最下位のプロ野球チームを立て直していく物語で、チェ・ジョンヒョプは新人投手役として後輩らしさを見せている。また2021年の『シーシュポス: The Myth』では、中華料理屋で働くジェソンを演じている。金髪に近い髪色とスカジャンのような派手な服装をしていて若者らしい。この初期の2作では俳優としての初々しさが役としても際立っている。 そして2021年から一気に輝かしいスターへの道を駆け上がっていく。ソン・ガンとハン・ソヒが共演した『わかっていても』で、チェ・ジョンヒョプが演じたのはハン・ソヒ演じるナビに片想いする幼なじみのドヒョク役。同作で彼の魅力を知った人も多いのではないだろうか。麺屋で料理の腕を磨く傍ら、優しさあふれる眼差しでナビを見つめる姿など、また違った彼の一面を見ることができる。ナビのために雨に濡れることも厭わず、ナビのためだけに花とイルミネーションの用意もするのだが、ナビの心は自分に向いていないと確信してしまうシーンは何とも切ない。2人が再会したシーンから、すでに気持ちに差があることが感じ取れてしまうのも、ハン・ソヒとチェ・ジョンヒョプの演技力の高さがあってこそだろう。それでも自分の気持ちに蓋をせず、ナビの幸せを想い続けるドヒョクにも「幸せが訪れますように」と祈ってしまう。 『魔女食堂にいらっしゃい』に出演した際、チェ・ジョンヒョプはすでに20代後半であったが、陸上の選手として有名な高校生・ギリョンを好演。いじめられている友達を自分の選手生命を顧みずに助けるような正義感の強い役柄であり、10歳ほど年上のジン(ナム・ジヒョン)に好意を持つシーンも。チェ・ジョンヒョプらしい無邪気な笑顔の中に、自分の意志を強く持っている人物像を垣間見ることができる作品だ。 また、パク・ジュヒョンとともに主演を務めた2022年の『時速493キロの恋』では、野球選手、陸上選手に続き、バトミントンに勤しむテジュン役を演じている。スポーツマンシップに加え、テジュンとテヤン(パク・ジュヒョン)の恋愛も描かれているので、『わかっていても』で見ることができなかったチェ・ジョンヒョプの恋愛姿を観たい人は必見だ。 『社長をスマホから救い出せ!~恋の力でロック解除~』は、彼の役者としての実力がハッキリとわかる作品となっている。チェ・ジョンヒョプが演じるのは、就活が上手くいかずにアルバイトばかりの生活をしているインソン。ある日、インソンが大企業の社長が“入ってしまった”スマートフォンを拾ったことで人生が逆転する。お金と地位をもらう代わりに、新社長となって誰が社長を陥れたのか探ることになるのだ。あまりにファンタジーすぎる内容だが、インソンが俳優を夢見ていたこともあり、社長らしく振る舞うために役者スイッチを入れる描写は「さすが俳優!」と思わずにはいられない。コメディ要素やミステリー要素、恋愛要素も楽しむことができるうえ、彼の演技力を実感することができる作品だ。 そして2023年には、再びパク・ウンビンと共演を果たした『無人島のディーバ』が配信された。チェ・ジョンヒョプは、パク・ウンビン演じるモクハと同級生で、共に家庭内暴力から逃げて夢を追いかけることを約束したギホを熱演している。一緒に船で逃げようとしたときにモクハが無人島に流されてしまい、行方不明に。ギホは彼女が生きていることを信じながら、自らの人生を生きていた。複雑な家庭環境で育ったギホを演じるためか、いつもの無邪気な笑顔は少し封印し、シリアスな表情を多く見せていたチェ・ジョンヒョプ。30歳を迎え、新たな役者としての境地を見つけたように感じられる。 新境地という意味では、『Eye Love You』でも日本語での演技に挑戦しており、別の側面を見せてくれている。日本ドラマに出演するという道を選んだチェ・ジョンヒョプが、今後どんな作品で飛躍していくのか、引き続き見守っていきたい。
伊藤万弥乃