知ってはいけない、世界の《残酷な常識》移民・難民問題の闇…スウェーデンが突如「受け入れ拒否」に大変換した不都合な真実
第一次大戦も第二次大戦も中立の立場を堅持し、戦後も西側諸国の一員でありながらも武装中立を国是としてきたスウェーデンは、ウクライナ戦争を機に世界最大の軍事同盟であるNATOに加盟を申請。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” 難民政策についても、スウェーデンはそれまでの寛容だった難民受け入れ政策を180度変換、難民をシャットアウトしている。 トランプの「アメリカファースト」に倣って、北欧の国々も次々と「自国ファースト」路線に変換しているようだ。 ドイツ在住のベストセラー作家・川口マーン惠美氏と青山学院大学教授・福井義高氏が、このような世界の国々の「変わりゆく難民政策」について語り合う。 ※本記事は、『優しい日本人が気づかない 残酷な世界の本音―移民・難民で苦しむ欧州から、宇露戦争、ハマス奇襲まで』より一部を抜粋編集したものです。
難民受け入れで「別の国」になるスウェーデン
福井義高(以下福井):ロシア帝国領だったフィンランドは、第一次大戦後に独立し、当初からソ連とは緊張関係にあり、第二次大戦ではドイツ側で戦って敗れ、一部領土を失いました。そのため、戦後、独立を維持するため、ソ連に配慮せざるをえない立場にあり、NATOには入りませんでした。 一方、スウェーデンは第一次大戦も第二次大戦も中立の立場を堅持し、戦後も西側に友好的ながらも中立政策を貫きました。 フィンランドの場合は、もともとロシアに対する警戒心が強いので、ウクライナ戦争を機にNATOに加盟したことは驚きませんが、スウェーデンが国是ともいえる武装中立方針を捨ててNATO加盟を申請したのは、思い切った方針転換です。 武装中立はスウェーデン国民の独立自尊志向の表れと思っていましたが、よく国民がその方針転換についていきましたよね。 川口マーン惠美(以下川口):スウェーデンは難民政策でも180度転換した国です。ほぼ全員と言っていいくらい受け、すぐに永住許可を出していた難民を、一切拒否するように一瞬で変わった。 福井:人口が1000万人くらいだから、難民を受け入れるとすぐに「別の国」になってしまいます。実際、もともと国民の同質性が高い国だったのに、わずか数十年で多民族国家化が進んでしまいました。 川口:犯罪も増えて銃による犯罪がマフィアのメッカ、シチリアよりも多いといいます。平和で静かな国ではなくなってしまった。 やはり難民受け入れに積極的だったデンマークは、一足先に難民をシャットアウトしました。ドイツとの国境は自転車でも入れますが、今は厳重に国境を見張っています。 福井:そのため、人権ロビーからデンマークは日本と並んで非難されています。こうした人たちは、自分たちは難民と接することのない生活を送っているので、無責任なことが言えるわけです。 自国の庶民を窮地に追い込んでおいて、自らの正義に酔っているともいえる。さらに、正義感を満足させるだけでなく、先ほど述べたように、勘定の面でも、難民は現実には安価な外国人労働者であって、エリートには得なわけです。 自国ファースト、というより自国の一般国民ファーストが、本来の政治家のあるべき姿でしょう。 川口:トランプの「アメリカファースト」で何が悪いのか。日本は「日本ファースト」でいってほしいものです。 福井:「アメリカファースト」というのは、アメリカでは戦後長い間、タブーとなった概念でした。 日米戦争が始まるまで、ヨーロッパで始まった第二次大戦参戦に反対するアメリカファースト委員会が主導する反戦運動が大きなうねりとなりました。その先頭に立っていたのが大西洋単独無着陸飛行を初めて成功させ国民的英雄となったチャールズ・リンドバーグです。 国民的基盤を持つ草の根の運動でしたが、参戦派からリンドバークは反ユダヤ主義者と非難され、アメリカファースト運動自体もそのようにみなすことが、戦後、定着しました。 しかし、こうした通説は、リンドバークに関しても(Duffy, Lindbergh vs. Roosevelt)、運動自体に関しても(Doeecke編, In danger undaunted)、事実とは異なります。ちなみに、ジョン・F・ケネディとジェラルド・フォード元大統領もこの運動に参加していました。 一方、トランプはニューヨークを活動の拠点とする実業家としてユダヤ人社会と良好な関係を築いており、娘婿もユダヤ人で、反ユダヤ主義者とは到底言い難い。 ただ、最初の選挙中から反イラク戦争を前面に出していたことから、ネオコンには警戒されていましたし、大統領就任後も足を引っ張られ続け、今に至ります。 1970年代のカーター大統領以来、トランプは、初めて新たな戦争、正確には対外武力行使をしなかった大統領です。「世の中カネだ」という人のほうが、イデオロギーの人よりも断然、話が通じやすいし、平和志向で安全です。 * …つづく<知ってはいけない、世界の《残酷な常識》日本人は知らない…スイスがじつはヨーロッパの人たちから嫌われている理由「アルプスの少女ハイジ」とは程遠かった>でも専門家による日本人が知らない世界の本音を明かします。
川口 マーン 惠美、福井 義高
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