事故車両、完成時は原則非公開に 福知山線脱線でJR西が遺族らに説明 将来的には検討も
震災で倒壊せず、その後震災の〝生き証人〟として神戸市長田区から兵庫県淡路市に移された市場の防火壁「神戸の壁」(幅約14メートル、高さ約7メートル)はその一つ。啓発にあたる団体は「物は世代を超えて残る。遺構があることで、より真実味をもって語り継ぐことができる」と重要性を語った。
JR福知山線脱線事故のように自然災害ではない重大事故でも、遺構保存の取り組みはある。520人が亡くなった昭和60年の日航ジャンボ機墜落事故では、現場となった「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)の墜落地点に「昇魂之碑」が設置され、麓にある「慰霊の園」とともに遺族らが毎年慰霊登山して黙禱(もくとう)をささげる。
同社はそのほか、航空安全を啓発するための教育研修施設「日本航空安全啓発センター」(東京都)を平成18年に開館し、残存機体や操縦士らの音声を記録したボイスレコーダーなどを展示。全グループ社員(約3万6500人)が新人研修や10年目研修などで同施設を見学するほか、一般の見学も受け入れており、年間平均で4千人を超える人が訪れるという。
同社は「安全の原点である御巣鷹での事故を風化させず、グループが持つ安全文化を継承するために継続して実施している。社員一人一人が事故の悲惨さを学ぶとともに、自身の業務と安全をどう結び付け行動していくか、考える場としていきたい」としている。