1軍昇格の大谷翔平をいまだ起用しない栗山采配はファンへの背信行為か?
交流戦からペナントレース再開のタイミングで1軍昇格した日ハムの大谷翔平だが、首位・楽天との3連戦で一度も出番がなかった。24日の第2戦では1-1で迎えた延長10回裏二死一、二塁で、ネクストバッターズサークルに登場。それだけで札幌ドームを盛り上げて空気を変えたが、先に代打にいった矢野謙次が三振に倒れて大谷へは回らなかった。 1点を追うことになった続く延長11回も一死から石井一成に替えて、大谷ではなく大野奨太が代打に送られた。この日も、楽天の先発、岸孝之の前に無失点が続き下位打線から始まる7回には、田中賢介、淺間大基と代打攻勢をしたが、大谷の名前はコールされなかった。結局、日ハムは、0-6の“完封負け”で連敗を喫した。 「どこでだよ?」 試合後、栗山監督は、大谷の起用法に関しての質問を受けてメディアに逆質問をしたらしいが、切り札を手元に残したままの無抵抗な敗戦には、疑問が残る。敗戦濃厚の中で1軍昇格させた大谷をベンチに最後まで置いたままでは、応援を続けたファンに対しての背信行為とも取れるのではないか。 パ・リーグの野球に詳しい評論家の池田親興さんは、「大谷の痛めた足の状況はどうなのか。それを踏まえて栗山監督なりに起用法には考えがあり、本人にも伝えてあるのかもしれないので、なんともコメントはしづらい。おそらくスタメンはまだ無理なので、代打としてインパクトがある場面で使って、苦しんでいるチームに刺激を与えたいのだろう。大谷がいるぞ、ということを相手ベンチに考えさせるだけで、効果や意味はある」と、温存したままで終わった3試合の起用法にも一定の理解を示す。 昨年のソフトバンク戦の「1番・投手大谷」や、今季もロッテ戦での「2番・大谷」など、栗山監督は大谷に関しては、相乗効果を期待してインパクトのある起用法にこだわる。それは対戦相手にとってやられるとダメージの大きい嫌な起用法でもある。 加えて大谷はファームで1試合も試運転をしないまま1軍に上がった。まだ足の状態が、100パーセントでないため走塁の負担ができる限りかからない状況で使おうと気を使っているのかもしれない。 4割打者の近藤健介が戦線を離脱。チームのピンチに、池田さんが指摘するように大谷の持つ“見えない力”を利用しようとしている向きもある。 実際、24日の試合で、ネクストバッターズサークルに大谷の姿が見えたとき、楽天のストッパーの松井裕樹は「回したくない」と考えたという。結果、松井は矢野を三振にとったが、そういう心理的影響を与えるだけでも、大谷は役割を果たしているとも言える。