袴田さん苦悩、闘いの日々 再審無罪 戸舘弁護士が講演 茨城・水戸
1966年の静岡県一家4人殺害事件を巡り、再審無罪が確定した袴田巌さん(88)を弁護団の一人として支えた戸舘圭之弁護士の講演会が16日、茨城県水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館(県民文化センター)で開かれた。袴田さんの冤罪(えんざい)がつくられていった過程や袴田さんの苦悩、無罪判決に至るまでの闘いが語られ、県内外からの参加者が聞き入った。 袴田さんは66年、殺人や放火の疑いで逮捕され、80年に死刑が確定。昨年10月に静岡地裁で再審公判が始まり、今年9月26日、地裁が無罪判決を言い渡し、その後確定した。 戸舘さんは講演で、当初無実を主張していた袴田さんが警察などの調べに〝自白〟した経緯を紹介。「連日12時間超えの取り調べを受け、お前がやったんだろと追い詰められ続けた」と話した。捜査員は袴田さんをトイレに行かせず、取調室におまるを用意し、「ここで用を足せ」と言ったという。「数年前に開示された取り調べの録音テープで明らかになった」と明かした。 戸舘弁護士は2014年、拘置所で袴田さんに釈放を伝えた際、「47年間死刑確定者として拘置が続き、まともな意思疎通ができない状態にあった」と振り返る。刑事裁判での事実認定については「何か違う証拠や事情が出てくればひっくり返ってしまう仮説だ」と指摘。死刑制度の問題点として「誤判救済の道を閉ざしてしまう」と持論を述べた。
茨城新聞社