インド神話に出てくる白猿のハヌマーンをもう一度、世界的ヒーローにすべく撮ったのだと思います【みうらじゅんの映画チラシ放談】『ハヌ・マン』『シン・デレラ』
『シン・デレラ』
── 2枚目のチラシは、誰もが知っている童話を基にしたホラー映画、『シン・デレラ』です。 みうら このタイトル、当然『シン・ゴジラ』の“シン”でしょうけど、日本の配給会社は最初邦題に「死んデレラ」を考えたと思うんです。なつかしのキンチョールのCM「飛んデレラ、死んデレラ」をヒントにね。 でも、あまりにもそのギャグ古すぎじゃないですか、若い人には通じません。だから『シン・デレラ』にしたんだと思います。ということはですね、この映画のシンデレラはおそらくゾンビですね。 ── はい? みうら あの話と違って、実際には舞踏会に行けなかったシンデレラがね、その恨みを残して死んだんでしょう。そして、ゾンビ化して舞踏会に出席してた奴らに復讐をしにいくんだと思います。 ── 確かにこのチラシ、舞踏会を血祭りにしそうなビジュアルですね。 みうら チラシの文面に「クソ」って書かれてるでしょ。それはクソのシーンがあるからなんですよ。 ── シンデレラがですか? みうら いや、かぼちゃの馬車の馬フンかもしれません。それを投げつけたりするんでしょうね。そうでもしないと、ホラー映画ファンは喜びませんから。 ── 確かにタイトルだけで出オチというか、ただシンデレラが人を殺すだけだと、簡単に想像できますもんね。 みうら でしょ? まず、シンデレラの清楚なイメージを崩すにはそれが一番だと思うんですけどね。 ── シン・デレラは下品な映画でもあると? みうら 「ゲヒン・デレラ」でもあるでしょうね(笑)。 取材・文:村山章 (C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved. (C)2022 Dark Abyss Productions Ltd ■みうらじゅんプロフィール 1958年生まれ。1980年に漫画家としてデビュー。イラストレーター、小説家、エッセイスト、ミュージシャン、仏像愛好家など様々な顔を持ち、“マイブーム”“ゆるキャラ”の名づけ親としても知られる。『マイ修行映画』(文藝春秋)、『みうらじゅんのゆるゆる映画劇場』『「ない仕事」の作り方』(ともに文春文庫)など著作も多数。