「えっ、富野作品だよ?」信じられないほど大団円『戦闘メカ ザブングル』の最終回
顔は「ドマンジュウ」なのにカッコよく見える異色の主人公
『無敵超人ザンボット3』の容赦ないシリアス展開や、『伝説巨神イデオン』の人類全滅エンドなど、富野由悠季監督といえばショッキングな展開を得意としており、ファンの間では「皆殺しの富野」の異名でも知られています。しかしそうした方向性とは真逆のアニメもいくつか手掛けていました。 【画像】「ドマンジュウ」な顔ってどんな顔? 『戦闘メカ ザブングル』の主人公「ジロン・アモス」(3枚) とくに有名なのが1982年に放送された『戦闘メカ ザブングル』で、その牧歌的な内容から「黒富野」ならぬ「白富野」の最高傑作として知られています。 同作はまず、主人公のキャラクターデザインからしてひと味違います。その少年「ジロン・アモス」は、まんじゅうのようなまん丸の顔に、団子のような丸い鼻が特徴的です。言ってしまえば主人公らしからぬ顔立ちで、作中では「ドマンジュウ」などと揶揄(やゆ)されていました。 ただ、その類まれな行動力とリーダーシップ、そして仲間たちへの優しさから、作中のヒロインたちはこぞって彼に夢中になります。視聴者のなかにも、物語が進むにつれて「ドマンジュウ」であるはずのジロンがカッコよく見えた……という人は多いのではないでしょうか。 またストーリーに関しても『機動戦士ガンダム』や『伝説巨神イデオン』とは異なり、宇宙戦争を主題としたスペースオペラではありません。 物語の舞台となるのは、広大な荒野が広がる「惑星ゾラ」です。漆黒の宇宙ではなく、茶色い土煙が舞う地上が主戦場となっており、まるで西部劇のようなイメージでした。 そして「惑星ゾラ」にはまともな警察機構がなく、殺人や窃盗などどんな罪であっても3日間逃げ切れば許される「三日の掟」という時効システムが根付いていました。主人公のジロンはこの「三日の掟」に逆らい、両親の仇である「ティンプ・シャローン」を追いかけ続けています。 彼の復讐劇を軸としながら、バイタリティにあふれた人びとの力強い生きざまを描いていくのが同作の大まかなストーリー展開です。そしてその最終回も富野作品にしては珍しく、大団円と呼べるものでした。