井岡一翔が宣言通りに世界戦経験もあるペレスを7回KOで仕留めた（写真・山口裕朗）

プロボクシングのWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチが大晦日に大田区総合体育館で行われ、WBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔（34、志成）が挑戦者の同級6位ホスベル・ペレス（28、ベネズエラ）から計3度のダウンを奪い、7回2分44秒KOで下して初防衛に成功した。井岡のKO勝利は2020年大晦日に田中恒成（畑中）を倒して以来、6試合ぶり。また2階級4団体制覇の偉業を達成した井上尚弥（30、大橋）に12月26日に追いつかれていた日本人の世界戦最多勝利数を22とし再び単独トップに躍り出た。井岡の鮮やかなKO勝利を海外メディアも「地球上で最高の選手の一人」「34歳だがまだまだ力を残している」などと絶賛した。 【画像】「ポロンあるかも」井岡一翔の大晦日決戦を盛り上げた4人のラウンドガール

「34歳だがまだまだ力を残している」

　井岡が世界戦経験もあるペレスを相手に格の違いを見せつけた。 序盤から前に出てプレッシャーをかけ、5ラウンドに右のカウンターパンチでダウンを奪い、立ち上がってきたところに再び右のストレートを浴びせて2度目のダウン。ゴングが重なり、フィニッシュができなかったが、7ラウンドにロープを背負わせて強烈な右ストレートを打ち込むと、3度目のダウンを喫したペレスは、膝をついたまま、ロープにもたれかかり、10カウントを数えられても立てなかった。 「今回はKOをお見せしたいという気持ちが強い」と戦前に語っていたKO宣言を有言実行。コーナーに駆け上がり「チョー気持ちいい！」と絶叫した。 　米メディアも井岡の3年ぶりのKO勝利を絶賛した。 パウンド・フォー・パウンドのランキングを発表するなど権威のある「リング誌」は「井岡が12月31日の試合で最高位に君臨し続けた」と伝えた。 　同誌は「ペレスは、試合開始から1発、もしくは数発のジャブを放って井岡の顔面に左フックをヒットさせた。だが、試合が進むにつれて、井岡のパンチの多くがペレスの顔面やボディを捉えることで、彼の持ち味であるより正確なパンチが違いを見せた」と、5回、7回のダウンシーンを交えて試合展開を紹介した。また同誌は、井岡の日本ボクシング界の風物詩ともなっている12度目の大晦日決戦についても注目。 「プロデビューを果たした2009年以来、ペレス戦のこの勝利を含めて井岡は12月31日に12度、試合を行い、10勝1敗1分の戦績を積み上げている」とした。同誌が4団体の枠を超えて独自に制定しているスーパーフライ級のランキングでは、井岡が対戦を熱望しているWBC世界同級王者のファン・フランシスコ・エストラーダ（メキシコ）をリング誌王者として認定。井岡がランキング1位となっている。 　ボクシング専門サイトのボクシングニュース24/7は「井岡がエキサイティングで印象に残るノックアウト勝ちを収めた」と報じた。 　同サイトは「地球上で最高の選手の1人で（日本のボクシング界で）伝統となっている大晦日のリングで常にショーを見せ続けている王者が、7回にフィニッシュする素晴らしい動きの戦いでペレスから3度のダウンを奪った」と紹介。 「この3年で、井岡にとって初のKO勝ちとなり、大田区総合体育館を満員にした母国のファンの応援の中、彼は確かに素晴らしい状態に見えた」と続けた。 　さらに「パウンド・フォー・パウンドの1人でもある井岡はとても素晴らしい戦いを見せた。井岡は2024年に115ポンド級（スーパーフライ級）の王座統一を望み、彼が今日披露したボクシングから判断する限り、彼は34歳ながらまだまだ多くの力を残している」と絶賛。34歳の井岡に限界など見えないことを指摘した。 　そして「ペレスは勝利を目指したが、スペシャルな選手と対峙してしまったということだ。日本のファンは、井岡の大晦日の戦いを本当に楽しんだ」とレポートした。