【追悼】大山のぶ代さん 認知症でも「ドラえもん」の声で…夫が語っていた妻の姿
遺言状も作成
看病生活で何が一番つらかったか? う一ん、『僕の言った通りに、どうしてできないのか』と怒鳴ってしまったことです。病気が治ると信じていたころは、特にそういうのが多かった。これに対してペコは、反論もしないでしゅんとなってしまう。やっぱり可哀そうでね、とにかく自己嫌悪の毎日でした。 今回お話ししたきっかけは、つい先日、友人の毒蝮三太夫に『妻の病状で嘘をついて、周囲に迷惑をかけているのが耐えられなくなった』と相談したことです。これに対して彼は『絶対に表に出した方がいい。先にお前が逝ったらどうするんだよ』と言ってくれた。それで踏ん切りがついたんです。僕に万一のことがあったときに備えて、遺言状も作成しました。 今はホッとしているし、むしろもっと早く明らかにすればよかったとも思う。もしあなたの家族の誰かが認知症なら、それを周囲に隠すより打ち明けた方がいい。それだけで少し心が軽くなりますから。 最後に仕事についてですが、『台本を持つと打って変わってしっかりする』とマネージャーは言います。仮名はもちろん、簡単な漢字も読めるみたいだし。でも、映像を見てそれに声を当てるというのは、もう無理なんじゃないかな。 その一方で先月、感心したことがありました。僕の新しいCDを録音するにあたって、ペコの声も入れようということになったんですよ。自宅1階のカラオケルームで彼女にメモを渡すと、それをドラえもんの声で読み上げた。声の出し方だけは、しっかりと頭に刻まれているんでしょう」(砂川氏) 前出・朝田教授による総括。「今回の公表で、芸能人だからと言って外出を遠慮し続ける必要もなくなったことでしょう。認知症患者は、記憶障害のほかに、“まあいいや。もうやめておこう”など、うつ病に似た状態に陥るケースがままあります。そういった喪失感を取り払うには、楽しむことが大事。外部とのふれあいが少し増えるだけでも、病状改善につながることがあるのです」
デイリー新潮編集部
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