名古屋市民の62・8%が「エスカレーターでの立ち止まりを意識」条例とともに継続的な啓発活動の効果【企画・NAGOYA発】
◇第35回「エスカレーターは『両側立ち』!! 名古屋スタイルを全国発信」その4 エスカレーターの片側を空ける乗り方が大都市を中心に定着している現実がある。それを打破しようとしているのが名古屋市だ。2023年10月に、事故防止を目的に立ち止まって乗ることが条例で義務付けられ、市内の駅構内などでも両側に並んで利用する姿が目立つようになってきた。有識者の一部では「名古屋スタイル」と呼ばれており、他の大都市もこれをお手本に取り組み始めているという。“名古屋発”の新たな行動規範が日本各地に拡散しつつある。(構成・鶴田真也) ◆エスカレーターの新スタイルを全国へ発信 NAGOYA発【動画】 ◇ ◇ ◇ 2024年9月に名古屋市が発表した調査結果でも数字に如実に表れている。同年6~7月にJR名古屋駅、市営地下鉄4カ所、名鉄栄町駅やショッピングセンターなどで実地調査したところ「立ち止まって利用」は全体の93・3%。条例施行前の22年は78・7%で14・6ポイントも上回った。「歩いたり走ったりして利用」は6・7%。21・3%だった22年と比べて14・6ポイントと急激に減っていることが分かる。 12月にも2024年度のエスカレーターの利用に関する市民アンケート結果を発表。左側に人が並び、右側が空いている時、「右側に立ち止まって乗ることがある」と答えた人は45・4%で、昨年度の調査と比べて13・0ポイント増えた。「条例制定後に右側に立ち止まって利用するよう意識している」と答えたのは62・8%に上った。 一方、空いている右側に立ち止まって乗ることについて「ない」と回答したのは50・1%。その理由を「習慣となっているから」としたのが複数回答可で最多の54・4%だった。同年9月に満18歳以上の市民2000人を無作為に抽出する形でアンケートし、有効回収数は1017人だった。 エスカレーター利用について継続的に啓発していることも大きい。通勤・通学客の乗り換えも多い地下鉄久屋大通駅の構内の壁には「走らない」「歩かない」などの注意書きが貼られ、地下鉄伏見駅では「条例違反です。歩かないでください」と人の流れを検知するセンサーと人工知能(AI)を使って警告音と音声で注意を促す実証実験も行われた。市交通局が行う啓発活動と連携して、条例施行翌日から「なごやか立ち止まり隊」のメンバーが活動し、条例順守を呼びかけている。