重要文化財「親鸞聖人像」を目に焼き付ける来場者＝金沢市の石川県立美術館

　　●県立美術館で開催中 　　●家族連れ、愛好者でにぎわい 　金沢市の石川県立美術館で開催中の奈良国立博物館展「まるごと奈良博」は前期展の会期が残り1週間となった。国宝「十一面観音像（じゅういちめんかんのんぞう）」や重要文化財「親鸞聖人（しんらんしょうにん）像」など、仏画や経典を中心に約70点が展示替えとなる。会場は21日も家族連れや愛好者でにぎわい、至高の仏教美術を見逃すまいと熱心に鑑賞した。 　国宝「十一面観音像」の前には鑑賞者が絶えず、截金（きりかね）で彩られた細部に目を凝らした。絹地に描かれた十一面観音像としては現存最古となり、来場者が米国人東洋美術史家フェノロサや茶人も魅了した一幅に見入った。 　「熊皮御影（くまがわのみえい）」と呼ばれる「親鸞聖人像」も前期展で見納めとなる。墨染めの袈裟（けさ）を着て、黒い獣皮に坐す姿は教科書でもなじみ深く、地元来場者が真宗の祖の姿を目に焼き付けた。 　釈迦（しゃか）の前世と現世の伝記を、絵を添えて説く奈良時代の重要文化財「絵因果経（えいんがきょう）」や、掛け軸全面を刺繍（ししゅう）で表現した「刺繍釈迦阿弥陀二尊像（あみだにそんぞう）」も前期のみの展示となる。二尊の髪など黒い刺繍は、戦時中に流行した「千人針」のように人の髪の毛を用いて表現されており、供養への強い思いを感じさせた。 　奈良博展は「ポスト国民文化祭」の目玉事業として県、県立美術館、北國新聞社でつくる実行委員会が主催し、国宝8点、重要文化財93点の計205点が展示される。 　前期は28日まで。開館時間は午前9時半～午後6時。入場料は一般1500円、大学生千円、高校生800円、小中学生500円。内灘町以北の小中学生は無料。後期は31日～8月25日に開かれる。