太陽の黒点数の影響で「小さな氷河期」が到来する!? 気になる「地球温暖化」の解決策になるのか?
では、「温暖化」は黒点が増えたから?
’23年6月には黒点の数が163個と、過去20年で最高になったという報告もある。温暖化は黒点が増えたせいだという声もあるが、 「’60年ごろには黒点数が270になったこともありました。過去20年で最高といっても、どうということはない。過去100年規模で考えたら、中程度の数です」 温暖化を引き起こしているのは、ほとんど人為的なものによると野沢教授は言う。 「気候を変化させる人為的な要因には、二酸化炭素、オゾン、エアロゾル、土地利用の変化が考えられます。中でも大きいのは二酸化炭素です。とにかく二酸化炭素を出さない、化石燃料に依存しない生活を心がけないと、子の世代、孫の世代、その先の世代につけを回すことになります」 いずれ太陽活動が不活発になって気温が下がるのだから、温暖化対策などしなくてもいいと唱える学者もいるが、どうやらそういうことではないらしい。 「数十年後の温暖化と3000年後の寒冷化。いま、どちらに備えるべきか、考えるまでもないでしょう」と、一刀両断。 「カーボンニュートラルを実現するためには、一人一人が努力しなくてはいけないのに、多くの人が、誰かがなんとかしてくれると思っている。それがいちばん問題です」 無駄に電気を使わない。水を出すにも電気が使われるから、水の無駄遣いも二酸化炭素を増やすことになる。車はできるだけ使わない。 野沢教授は、仕事での移動は公共交通機関と決めているとか。 「岡山県内は、交通の便が悪いところもありますから、驚かれることもあります」 けれど、個人の努力でどうにかなるものだろうか。 「家庭から排出される二酸化炭素量は15%。けっこう大きいんです。これが減るだけでも大きいはずです。日本には1億人以上がいますから、一人一人が努力して、火力発電所を1基減らす。そのぐらいの気運が必要だと思います」 野沢徹 岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域教授。独立行政法人国立環境研究所を経て、現職。長期気候変動・変化に関するさまざまな観測データや、複数の気候モデルなどを総合的に解析し、太陽活動や大規模火山噴火も含めたさまざまな要因により、地球の気候がどのように変化し得るのか、また、これら複数の気候変動要因が、過去の大規模な気候変動や近年の地球温暖化にどの程度影響を及ぼしているのかを研究している。 取材・文:中川いづみ
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