【皐月賞】GⅠでのペースアップに対応できるかがカギ 血統ではNureyevやSadler's Wellsに注目
血統解説
・シンエンペラー 母Starlet's Sisterは北米GⅠ・7勝の名牝Sistercharlieと2020年凱旋門賞馬Sottsassなどを出した優秀な繁殖牝馬で、本馬はSottsassの全弟という良血。母が持つMiswakiの3×3や父Siyouniから受け継ぐスピードが本馬の持ち味で、日本での瞬発力勝負にも一定以上の適性を示しています。とはいえ、Nureyev≒Sadler's Wellsの4×3などを持っていることから、日本では東京よりも中山向きの馬力型。ペース経験のアドバンテージも大きく、減点材料が非常に少ない一頭です。 ・ジャンタルマンタル 母インディアマントゥアナは18年レッドカーペットH(北米GⅢ、芝11F)の勝ち馬で、父パレスマリス(13年ベルモントS)はアイアンバローズやジャスティンパレスの半兄。距離適性の幅も広く、手先が強いためダート適性も高そうな北米血統馬です。ただ、道悪馬場は苦にしないものの、相対的にはスピードを生かせる良馬場向き。緩い馬場での開催が続いていることから馬場状態には注意したいところです。 ・レガレイラ 3代母ウインドインハーヘアに遡る名牝系に属し、母母ランズエッジは名馬ディープインパクトの3/4同血の妹。さらに、母ロカはアーバンシックの母であるエッジースタイルの全姉であり、本馬はアーバンシックと同じスワーヴリチャードの産駒でもあります。つまり、本馬とアーバンシックは血統構成がほとんど同じ。両馬とも不器用ではあるものの末脚の爆発力が素晴らしい素質馬たちです。ただ、中山芝2000mでは乗り難しいことは間違いなく、主戦騎手であるC.ルメール騎手からの乗り替わりも割引が必要でしょう。 ライタープロフィール 坂上明大 1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
坂上明大