団体信用生命保険とは? その2 団体信用生命保険の保障範囲に関する特約
前回「その1 団体信用生命保険の機能」で説明しましたが、団体信用生命保険とは、借り手に万が一のことがあった場合、保険会社が借り手に代わり金融機関へのローン残高を返済する保険です。 「万が一のこと」とは、死亡や高度障害状態などをいうのですが、例えば、借り手ががんや脳梗塞などの三大疾病にかかった場合にも、ローン残高の一部もしくは全部を返済してくれる特約があります。 本記事「その2」では、そのような特約について説明したいと思います。
がん保障特約
特定ケースに対する住宅ローンの残高を返済する特約として、まず、がん保障特約(がん疾病特約などともよばれる)が挙げられます。これは、住宅ローンを抱える借り手ががんに罹患した場合、住宅ローンの残高を保険金で返済するための特約です。以下に詳細を説明します。 保障内容: この特約は、借り手ががん(特定のがんを対象とすることが一般的)に罹患した場合に、住宅ローンの残高を清算する保障を提供します。ローン残高支払の要件は、がんの診断が確定した場合など一定の要件を満たした場合、住宅ローンの残高全額や一部に相当する額の保険金が金融機関に返済されます。これにより、借り手は、住宅ローンの返済の負担から解放されます。 保険料: がん保障特約を追加する際には、通常は追加の保険料が必要であり、これは住宅ローンの返済金利に上乗せされます。保険料の金額は、特約の内容、借り手の年齢、保険金額などによって異なります。 特約におけるローン残高支払の要件: ローン残高支払の要件は保険会社によって異なりますが、がんの診断が確定した場合、またはそれに加えて「一定期間以上働けなくなった」など特定の要件を満たすことが求められます。また、特定のがん種やステージに関する制限があることもあります。
がん以外の保障特約
住宅ローンの団体信用生命保険において、がん以外の疾病なども保障の対象になる場合があります。具体的な保障対象の疾病は、保険会社や保険契約の条件によって異なりますが、一般的に以下のような疾病が考えられます。この場合、単に該当の疾病に罹患しただけでなく、「一定期間以上働くことができなくなる」などの要件を満たすことが要求されることがあります。 心臓病: 心筋梗塞(心臓の血管が詰まることによる心筋の壊死)や冠動脈バイパス手術など、心臓に関連する疾患 脳卒中: 脳卒中(脳の血管が詰まることや破れることによる脳の損傷)やその他の脳に関連する疾患 肺疾患: 慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺がんなどの肺に関連する疾患 腎臓疾患: 腎臓疾患や腎不全を指す 肝疾患: 肝硬変や肝臓がんなどの肝臓に関連する疾患 糖尿病: 2型糖尿病などの糖尿病を指す 関節疾患: 関節リウマチなどの関節に関連する自己免疫疾患 視覚障害: 失明や視力の重大な低下を指す 聴覚障害: 聴力の重大な低下や難聴を指す 要介護状態に関する保障特約: 借り手が一定の要介護状態になった場合に、ローン残高が返済される特約もある これらの疾病などに対する保障は、特約として提供される場合があります。ただし、保険会社や保険契約によっては、特定の疾病や診断基準、または保険契約者が該当の疾病にかかった場合に支給される給付金の金額に関して、異なる条件が適用されることがあります。
まとめ
本記事で述べたように、借り手の死亡・高度障害のみならず、借り手ががんなどの特定の状態や疾病になった場合にも保障する特約があります。しかし、保障範囲を広げれば広げるほど、保険料も高くなるので、どこが最も効率的な保障かを考えたうえで保障範囲を決める必要があります。 執筆者:浦上登 サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部