“山の妖精” 城西大学・山本唯翔が大学で急成長したワケ 社会人で“山の神”超えへ「マラソンで五輪目指す」
1月2日に行われた箱根駅伝で自らの5区の記録を50秒更新した“山の妖精”こと城西大学の山本唯翔。大学入学時には「1回でも出場できれば…」と思っていた選手が箱根駅伝MVPに輝くまでに急成長した背景に迫った。 【画像】箱根駅伝MVP!2年連続5区区間新の山本唯翔選手…新潟の自然で養った山への適性
自然の中で養った“山登りの適性”
“山の妖精”は雨が降る中でも、自信を持って5区のスタートラインに立った。 目指すのは初代“山の神”こと今井正人さんの記録・1時間9分12秒。3番目で受け取った襷を手に、城西大学4年の山本唯翔は前を走る青山学院大学・駒沢大学を追った。
降りしきる雨によって、体は徐々に冷え込んでいったが、そんな思いよりも最後の箱根駅伝を走れる喜びが上回った。 「きついというイメージよりは、憧れの舞台でもあったので、楽しかったというプラスの思いのほうが強かった。1万mのレースよりも短く感じた」 東京五輪・男子マラソン日本代表の服部勇馬と同じ新潟県十日町市出身の山本。山登りの適性はこの十日町市の自然の中で養われたという。小学生の時は毎日、上り下りがある道を2km歩いて登下校した。また、クロスカントリースキーにも取り組み、こうした環境によって脚力が鍛えられたのではないかと笑って話す。 そんな山の申し子が箱根駅伝の5区に憧れを持ったのは自然の流れだったのかもしれない。
大学入学時 箱根駅伝は「1回でも…」
その一方で、大学入学時の思いを聞くと、予想外の答えが返ってきた。 「個人としては大学で1回でも走れればいいかなと思っていたので、ここまでなれると想定していなかった」
こう謙遜するものの、さっそく大学1年で憧れだった5区に出走。区間6位の快走で山への適性を証明して見せた。頭角を現した山本はそこから急成長を見せる。 2023年の箱根駅伝で、従来の5区の記録を更新し、“山の妖精”と名付けられた山本は、2月の丸亀ハーフマラソンで1時間1分34秒を記録。8月にはユニバーシティゲームズの1万mで銅メダルを獲得した。 山だけでなく、平地での強さも身につけた山本には、大学入学時から持ち続けていたモットーがある。 「自分のモットーとして『努力する』ということを大事にしてやってきた。『努力は報われるまでやる』というのを続けてきた結果が今の結果。今まで目標を持ちながら諦めずに努力してきたことが一番の強くなれた要因なのかなと思う」