【速報】“紀州のドン・ファン”遺言書訴訟 一審・和歌山地裁の「有効」判決を不服として遺族側が控訴
“紀州のドン・ファン”と呼ばれた資産家の男性が残した13億円を超える遺産に関して、「全財産を田辺市に寄付する」と記された遺言書をめぐる裁判で、和歌山地裁が6月21日、遺言書を『有効』とする判決を言い渡したことに対し、原告である遺族側は判決を不服として控訴したことが分かりました。控訴は2日付。
■遺産は13億円以上…赤ペンで「いごん」「田辺市にキフする」
“紀州のドン・ファン”と呼ばれた和歌山県田辺市の野崎幸助さん(当時77歳)は、2018年5月、急性覚醒剤中毒で死亡し、元妻の須藤早貴被告(28)が殺人などの罪で起訴されました。 遺言書は、野崎さんの死後、野崎さんが生前に経営していた会社関係者が預かっていたことが判明しました。書面には、赤色のサインペンで書かれ、野崎さんの「氏名」とともに「いごん 全財産を田辺市にキフする」などと記されていました。 野崎さんの遺産は13億円以上にのぼるとみられ、遺言執行者の弁護士が手続きを進め、2019年9月に田辺市が遺産を寄付として受け取る方針を進めていました。 これに対し、野崎さんの兄ら親族4人が2020年4月、遺言書の無効の確認を求めて裁判を起こしました。裁判で、被告は遺言執行者の弁護士ですが、実質的には補助参加人と加わっている田辺市が遺言書が有効だと証明する形となっています。 仮に遺言書が無効となった場合、法定相続人は4分の3が配偶者、残りがきょうだいととなります。ただ、野崎さんが死亡した時に配偶者だった須藤被告は、野崎さんを故意に死亡させたとして有罪が確定した場合、民法上の規定により相続権を失うことになります。
■遺族側は「野崎さんのものではない」筆跡鑑定書を3通提出
争点となっていたのは、遺言の体裁と内容の信ぴょう性です。 遺族側は、裁判の中で「赤色のサインペンで走り書きしたような文字で、熟慮した末に作成したものと考え難い」と主張。「遺言書の筆跡は野崎さんのものではない」とする筆跡鑑定書も3通提出していました。 これに対し遺言執行者と田辺市側は「野崎さんは生前から赤色を多用し、遺言書は走り書きではなく丁寧に記載され、有効な遺言書である」とし、督促状に書かれた署名と筆跡の特徴が一致していると主張していました。 また、『田辺市に全額寄付する』という内容について、遺族側は「野崎さん以外の人が偽造したと考えるのが合理的」だと主張するのに対し、田辺市側は証人として尋問が行われた野崎さんの会社の元経理担当者は、「野崎さんは兄妹に財産が行くのを嫌っていた。お金目当ての兄弟に財産をとられるなら恵まれなかった子に寄付したいと話していた」と証言していました。 双方の主張が真っ向から対立する中、和歌山地裁は6月21日、遺言書の筆跡について「野崎さんの筆跡とみて相違ない」と判断し、遺族側の訴えを退け、遺言書を『有効』とする判決を言い渡していました。
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