「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> G-セルフ (パーフェクトパック) 」企画担当者インタビュー
富野由悠季氏が総監督・脚本を務めたアニメ『Gのレコンギスタ』が2024年10月に放送10周年を迎え、BANDAI SPIRITSの「METAL ROBOT魂」シリーズにて「G-セルフ(パーフェクトパック)」の商品化が決定。魂ストアにて10月25日16時より予約受付が開始された。 【画像】「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> G-セルフ (パーフェクトパック) 」※画像は試作品を使用しています 「G-セルフ(パーフェクトパック)」は『Gのレコンギスタ(以下、G-レコ)』の終盤にて登場した「G-セルフ」の最終決戦仕様。劇中にて登場したアサルトパックやリフレクターパック、高トルクパックなどのバックパックの性能をすべて兼ね備えた「パーフェクトパック」を装備し、肩アーマーやシールドなども強化された姿となっている。 地球から月のトワサンガ、そして金星のビーナス・グロゥブの旅路を経て、地球圏に帰ってきた際に激化する戦場を止めるべく「G-セルフ」の性能をフルに発揮できる一方で、フォトン・トルピードなど強力すぎる威力で大きなインパクトを残した。 そして、TVアニメを再編、新規カットを追加した劇場版でもマシンの性能の高さを発揮した。 2023年のイベント「TAMASHII NATION 2023」にて参考展示がされ、「METAL ROBOT魂」シリーズでの立体化に注目が集まった。 ダイキャストを使用した「METAL ROBOT魂」シリーズで「G-セルフ(パーフェクトパック)」がどのように表現されているのか、デザインや可動など気になる本商品の魅力をBANDAI SPIRITS コレクターズ事業部で本商品の企画担当をされている天笠泰伸氏に話を聞いてみた。 ■ G-レコの世界観をふんだんに詰め込んだG-セルフ ――最初に「METAL ROBOT魂<SIDE-MS>G-セルフ パーフェクトパック」の立体化の経緯をお聞かせください。今回G-レコ10周年を迎えファン待望のアイテムかと存じます。 天笠氏:G-レコ10周年というメモリアルイヤーに本商品をファンの皆様にご案内できること、商品企画担当としてとても幸せに感じています。 商品企画自体は2年以上前から動いていました。METAL ROBOT魂で平成ガンダム主役機のラインナップを徐々に拡大している中で、「G-セルフ」もパーフェクトパックを装備した最高の形で商品化したいと思っていました。 やはり「10周年」というのは送り手も受け手も盛り上がるタイミングですので、放送10周年を迎える2024年10月を受注開始タイミングと設定しました。 ――2015年に「ROBOT魂 <SIDE MS> G-セルフ」が発売されていますが、今回のMETAL ROBOT魂になったことでデザイン面で進化した点はありますか? 天笠氏:2015年のROBOT魂「G-セルフ」は当時の立体のなかでも劇中の雰囲気を良くとらえた商品でした。 今回METAL ROBOT魂で商品化するにあたり、プロポーションや基礎設計などはROBOT魂からデータを引き継いだ部分も多くあります。一方で基礎設計を引き継ぎつつも、本体のサイズが少しボリュームアップしています。 この10年の間で、地上波放送以降も劇場版5作品展開と常に情報がアップデートされており、そういった部分を再現するため初立体化のパーフェクトパックは当然ながら、「G-セルフ」本体も新規造形となっています。 ――では、劇場版に近いイメージでの立体化になるのでしょうか? 天笠氏:そうですね。今商品化するのであれば、デザインの解像度がより洗練された劇場版のG-セルフを期待されているかと思い、そのイメージを再現するように造形しています。 ――劇場版の「G-セルフ」ではツインアイが印象的でしたが、こちらの表現はどのようになっているのでしょうか? 天笠氏:やはり最新の「G-セルフ」といえばツインアイの表現は欠かせません。この部分は何度も試作を繰り返して仕様を検討しました。 当初はツインアイをクリア成型で造形し裏側に内部ディテールを彫刻して表現する、という方向で試作したのですが、どうしても目が暗くなってしまう。そこで塗装とプリントで劇中イメージに近づけていく方向に舵を切りました。結果的に正解だったと思います。 ――ツインアイのほかにも「G-セルフ」の特徴としてブルーのクリアパーツも印象的ですね 天笠氏:「G-セルフ」のブルーは非常にインパクトがあります。劇中では発光している部分ではありますが、METAL ROBOT魂では、彩色の工夫で発光をイメージできるように工夫をしております。 例えば明るく見せたい部分にはクリアパーツの内側に白色の彩色をしたり、シールドなど質感が違って見える部分は内側にシルバーで彩色する、などです。 天笠氏:「G-セルフ」の特徴として「フォトン装甲」という設定もありますので、カラーリングに関しても試作段階でツヤのある彩色にしてみたり、クリアーで塗装してみたりと様々な色合いを試しました。 そうした中で、商品化にあたって映像で見るG-セルフの色合いとして比較的スタンダードなカラーリングで仕上げて、ユーザー様に手に取っていただいたときに落ち着くカラーリングなっているかと思います。 ――続いて可動についてお聞かせください。METAL ROBOT魂での立体化でダイキャストが使用されたことで広がった表現などありますか? 天笠氏:ダイキャストは「G-セルフ」本体の主に下半身と腕に使用しております。 また可動に関しても、本体は肩には引き出し機構を備えていますし、つま先の可動もありますので飛行フォームが似合う動きも表現できます。 天笠氏:「G-セルフ」本体にダイキャストパーツを使用することで、大きなバックパックを装着しながらも比較的安定したバランスで立たせることができます。 スラスターノズル等に露出する金属の質感や、関節に使用することでの高い強度など金属パーツを使用するメリットはいろいろありますが、「フィギュアで遊ぶ」という視点ではG-セルフ本体に比重を置いた重量バランスが最大のメリットかもしれません。 ――パーフェクトパックのギミックについてお聞かせください。アサルトモードやリフレクターモードなどの展開はできるのでしょうか? 天笠氏:アサルトモードの砲撃状態を再現できるようにユニットを前面に移動し、砲身が開くギミックを搭載しています。また、リフレクタ―モードの水平に展開し、側面部が開くギミックを搭載しています。 天笠氏:各モードのギミック、劇中を再現するなら本体色の変化が必要なのですが流石に難しいのであくまで「モードが切り替わる直前」の再現ということで。いつか彩色を変更したバージョンも商品化できたらいいですね。 トラフィック・フィンは着脱するだけでなく付属の支柱を使用して発射状態でのディスプレイもできるようになっています。「カバカーリー」との戦闘で目立っていた装備なのでここは再現できて良かったです。 ――パーフェクトパックのギミックとは異なるのですが、劇場版第4部「激闘に叫ぶ愛」でのマックナイフ戦の状態再現も可能でしょうか? 天笠氏:パーフェクトパックの取り外しはもちろん、G-セルフの脚部にありますフォトンバッテリーのパーツも取り外しができますので、マックナイフ戦のシチュエーション再現も楽しめます。 ――G-セルフ本体とパーフェクトパックには施されているマーキングはMETAL ROBOT魂のオリジナルデザインでしょうか? 天笠氏:これまでもMETAL ROBOT魂では様々なシリーズをやらせていただく中で、+α(プラスアルファ)の情報や世界観を表現する情報を入れています。 全身に施されたマーキングについては、そもそも「フォトン装甲」というものにコーションマークなどの書き込みがあったりするのか? もしかするとモニター表示のよう装甲に投影するシステムがあったりするのかな?などと考えましたが、全体的に装甲の地色に近づけた色設定にしたことで悪目立ちせず情報量を高められ、約13cmのミニチュアモデルとしての最適解を導けたのではないかな、と思います。 プリントする文字についても、世界観を崩さないように「G-レコ公式フォント」を用いました。劇中で、モニター表示などで使われているフォントです。 ――「METAL ROBOT魂<SIDE MS>G-セルフ(パーフェクトパック)」は本体がサイズアップしているとのことですが、「ROBOT魂 <SIDE MS> G-セルフ」の大気圏用パックを付ける遊びはできますか? 天笠氏:過去に発売された「ROBOT魂 <SIDE MS> G-セルフ」、「ROBOT魂<SIDE MS> G-セルフ(リフレクターパック)」のバックパックを付け替えることは可能です。ですが、肩や腕の造形がパーフェクトパック仕様になっているので、玩具オリジナルの遊びとして楽しんでいただけたらと思います。 ――「これだけは絶対再現したい」、「この部分に力を入れました」などの担当者様のこだわりポイントをお聞かせください 天笠氏:ガンダムであれば「メカとしてのカッコよさ」を主張したい部分なのですが、G-レコにおいては「作品の持つ柔らかさ」というか自由に動きまわるキャラクターたちがあっての「モビルスーツ」という意識を持つべきだと考えていました。 「頭身を高くして脚を長くシュッとさせる」という方向には走らない様に注意しながら、極力劇中のイメージを落とし込むため微調整を行いました。ただ、それでも自分の中で「ちょっと硬い印象かなあ」と最後まで感じていたのですが、それを払しょくできたのが「台座のデザイン」です。 エンディングの「敵味方様々なキャラクターが肩を組んでのラインダンス」は私が感じる「G-レコらしさ」の象徴であり、これを台座のデザインに落とし込んだ時に「これでいいんだ」と感じられました。METAL ROBOT魂のシリーズで集められているユーザーの方には、横並びにすると異色感を感じられるかもしれませんが、そこも楽しんでいただけたら幸いです(笑) 天笠氏:繰り返しになりますが、近年のロボットデザインでは顔を小さめにして手足を長く設定してスタイリッシュなヒロイックなデザインが多いかと思います。 本製品ではそうしたカッコよさとは違う「G-セルフ」らしさを追求しました。戦闘のカッコよさももちろんありますが、主人公のベルリの心境を投影するような表現やしぐさもあり、キャラクターとしての魅力を引き出せるように立体化しました。 ――最後にユーザーへのメッセージをお願いいたします。 天笠氏:改めてになりますが「G-レコ10周年」をファンの皆様とともにお祝いできることを幸せに感じています。その10周年の記念商品として多くのユーザーに本品を手に取ってもらえれば次の展開を行うための大きな弾みとなりましょう。 11月15日より開催する「TAMASHII NATION 2024」では製品版に近い試作品をお見せできるかと思います。 「METAL ROBOT魂Gのレコンギスタシリーズ」はまだスタートをきったばかりです。今後もG-レコファンに喜んでいただける様頑張ります!スコード ――ありがとうございました。 (C)創通・サンライズ ※画像は試作品を使用しています。実際の製品とは異なる場合がございます。ご了承ください。
HOBBY Watch,吉田航平