ある日突然、貯金代わりだった家の価値がなくなったら…?中国が“不良債権処理”に及び腰な理由と“被害者”の国民ができないこと
ロシアによるウクライナ侵攻、中東ではイスラエルによるガザ地区への攻撃など、国際情勢が物流に影響を与え、各国のインフレ率を直撃している。 【画像】資産を守るための知識が詰まった上念司さんの著書 私たちが“投資”を考えるときに、こうした地政学的な知見も、今後の経済情勢を予想するために重要になる。 経済評論家・上念司さんの著書『経済学で読み解く 正しい投資、アブない投資』(扶桑社)から、「なぜ中国共産党は不良債権処理に及び腰なのか」について一部抜粋・再編集して紹介する。
中国の経済の自由化は期待できない
現在、中国共産党は政治的にも経済的にも巨大な権力を握っていますが、経済の自由とはその巨大権力を民衆に明け渡すことを意味します。 そんなこと認めるわけがないですよね? 中国は共産党が永久に統治する。そう思っているに違いない。だとすると、中国における経済の自由化は全く期待できません。 中国経済は中所得国の罠にハマって今後、長期停滞に陥る可能性が高いです。それはつまり、ハル・ブランズが指摘する「チャイナピーク論」にピタリと一致しています。 だからこそ、非常に危ない。まさに「デンジャー・ゾーン」。 とはいえ、これはあくまでも政治的な理由です。 経済的な面からも中国の不良債権処理が進まず、経済の自由化が難しい理由について考察してみたいと思います。
将来に不安を抱くと人は何をする?
不良債権を積極的に処理せず、住宅価格も大して調整しないということは、表面上は緊急事態が起こっていないという設定です。 そのため、家を買った人は住宅ローンを払い続けなければなりません。 しかし、よく考えてください。 そのローンの残高は住宅バブルのピークでつけた価格に対するローン残高です。トンデモない高値摑みの金額ですよね。 まして、住宅バブルは崩壊しているので物件を転売してもローンは返せません。下手すると借金だけが残ります。 当然、人々は将来の見通しに不安を抱きます。そういうとき、人はなにをするでしょう?日本でもそうでしたよね? そういう状況に陥ったら、多くの人は消費を切り詰めて、借金返済を優先します。 しかし、みんながこれをやってしまうと、当然消費は低迷します。結果として景気が悪くなる。 景気が悪いと将来に対する不安もさらに膨らんで、人々はますます消費を切り詰めて借金の返済や貯蓄に走る。まさに悪循環!