「わかってもらえた」直前1か月の時間外150時間超…自殺した町職員の遺族に約8400万円の賠償命令 “上司のパワハラ”認めるも違法性なし 釧路地裁
UHB 北海道文化放送
2019年、北海道東部の標津町の職員だった当時24歳の男性が自殺したのは、長時間労働や上司のパワハラが原因だとして、遺族が町に損害賠償を求めている裁判。 2月2日、釧路地裁は判決で町側のパワハラは認めなかった一方で、約8400万円の支払いを命じました。 この裁判は、標津町の職員だった鈴木雄大さん(当時24)が2019年7月に町内の川で自殺したのは、長時間労働や上司のパワハラが原因だとして、遺族が町に約1億円の損害賠償を求めているものです。 鈴木さんは当時、商工観光課で修学旅行の受け入れなどを担当。 2019年4月以降、人員削減などで例年の3倍に増えた業務を1人で担うなど鈴木さんに仕事が集中し、亡くなる直前の1か月間の時間外労働は150時間を超えていました。
さらに、上司からの無視や暴言を吐かれるパワハラを受け、うつ状態になり自殺したとみられています。 「(修学旅行の業務を)結局は1人でまかないきれなくて、会社から電話やメールでお叱りを受けて、毎日のようにさぞつらかっただろうな」(鈴木雄大さんの母 龍子さん) これまでの裁判で町は長時間労働があったとして、安全配慮義務違反を認める一方、上司によるパワハラはなく自殺は予見できなかったと主張。 請求棄却を求めていました。 2日の判決で釧路地裁の片山信裁判長は… 「上司による違法なパワハラがあったとは認められない。業務が過重な状況にあったことは容易に認識できたが適切な措置をとらなかった」(片山信 裁判長)
上司のパワハラについて判決では「二次会を中座した雄大さんを叱責したが、人格を否定するなど精神的な攻撃にまで及んでいない」、「職場で大声で叱責したが、指導の範囲を逸脱していない」などとして認めませんでした。 一方で、安全配慮義務違反があったなどとして、町に対し、約8400万円の支払いを命じました。 「パワハラが認められなかったことが残念で悔しい」(鈴木雄大さんの父 省三さん)
「息子にも非があることを言われていたが、判決でそれが退けられた。裁判長から聞いた時に本当によかった。わかってもらえたと思った」(鈴木雄大さんの母 龍子さん) 町は「判決文が届くのを待って適切に対応を検討したい」とコメントしています。 原告側は、控訴するかは今後検討したいとしています。 不安や悩みがある方は一人で抱え込まず、窓口などへ相談してください。 ・よりそいホットライン:0120-279-338 ・北海道いのちの電話 :011-231-4343 (いずれも24時間対応)
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