『となりのナースエイド』『PICU』『東リべ』 高杉真宙が“バディ役”で好演続く理由とは
高杉真宙は、“受け”の演技が上手い。近年はどの作品においても印象に残るバディ/ペアの空気感を生み出している。 【画像】オフショットで完全に「#オフ大河」な高杉真宙 『となりのナースエイド』(日本テレビ系)の第8話で、外科医としておそらく日本でも有数の技術力を持っている大河(高杉真宙)が、独断で手術を敢行。場合によっては医師免許を剥奪されかねない。姉・唯(成海璃子)の死のこととなると周りが見えなくなってしまう澪(川栄李奈)といい、彼といい、何かと視聴者である私たちをハラハラさせる行動を取りがちだ。ドラマの中のミステリー要素より、そっちの方がスリリングである。 一方で、登場人物たちのコミカルなやりとりも本作の魅力のひとつ。スリリングさとコミカルさのバランスがちょうど良く、毎回、あっという間に1話を観終わってしまうのだ。 そのコミカルさを支えているのが、大河の絶妙な反応と返しではないだろうか。“前向きバカ”と言われている澪や、付き合ってもいないどころか、一度の告白がバッサリと断られたのに自分のことを“元カノ”という玲香(瀧本美織)は突拍子もないことを言いがちだ。それに応える大河の反応は真っ当である。でも、残念ながら愛想がない。たとえば「澪と付き合ってるの?」と聞かれたら、「何言ってるんですか、付き合ってないですよ~」と笑顔で返せば角が立たないのに、大河は表情を変えずに真顔で「付き合ってないです」と言う。そのやや“マジレス”ぎみな返しが時に笑いを誘うのである。 『わたしのお嫁くん』(2023年/フジテレビ系)ではひょんなことから片思いをしていた会社の先輩と一緒に住むことになった家事が得意な青年・知博を演じた高杉。「気が利くからいいお嫁さんになりそう」と周りから思われていた穂香(波瑠)は実は、家事全般が苦手だったが、知博は、それを知ってもガッカリはしなかった。むしろ「先輩が苦手なら僕がやります!」というような勢いを見せ、後輩でありながら“お嫁さん”としての姿を愛嬌たっぷりに演じた。知博も万能ではなく、“王子様”ではなかったからこそ『わたしのお嫁くん』はラブコメかつ2人が協力して、成長しあうドラマとなったのだ。 『となりのナースエイド』と同じく医療ドラマの『PICU 小児集中治療室』(2022年/フジテレビ系)では、武四郎(吉沢亮)と兄弟のように育った大親友で、同じ医師として頑張っていた悠太を演じた。悠太は過酷な環境に疲れ果てていたが、それを誰にも相談することができず、自殺を図って武四郎のいる病院に搬送された。病院で思いがけない再会を果たした2人。吉沢と高杉による熱い友情の芝居に涙した視聴者も多いだろう。 吉沢と高杉、この2名が並ぶと思い浮かぶのが人気漫画を実写映画化した『東京リベンジャーズ2』だ。高杉演じる千冬と北村匠海演じるタケミチとの“バディ感”や、場地(永山絢斗)との魂の繋がりを感じさせる名演の数々は、“相棒”としての高杉を私たちに強く印象づけた。 コミカルだろうとシリアスだろうと、相手の魅力を引き出しながら、自らの役柄もしっかりと演じ、ドラマ全体を引っ張っていけるのが高杉の大きな魅力である。『となりのナースエイド』はコミカルな場面とそうでない場面のバランスが絶妙である。本作ではどちらの雰囲気にも馴染む高杉の良さが存分に発揮されているのである。
久保田ひかる