「日の丸・君が代」強制に国際機関が勧告 外務省見解への対応は?
「コロッと変わることはない」
筆者は、東京都教育庁指導部の熊木崇・主任指導主事に都教委の回答について質した。 ――外務省見解を否定するのですか。 「否定はしません」 ――ということは条約遵守義務があるということでいいですか。 「答える立場にありません」 ――一般の都民にもこの問題に関心を持っている人はいますが「答える立場にない」で理解されますか。 「私たちの立場は判決で認められています。司法の判断を仰ぎながらやっているので、コロッと180度変わることはありません」 ――国際基準に従わないのですか。 「答える立場にありません」 ――外務省と協議していますか。 「(条約への対応のような)各論では協議はしていません」 同会の元都立高校教員、花輪紅一郎さん(74歳)は「行政は立法の範囲内でしか業務ができないはずなのに、法律(条約)をあからさまに無視するのは行政の権限を逸脱する違法行為に当たるのではないでしょうか。都教委の態度は、統治システムを無視し、独善的で異様に見えます」と話した。 3月27日に開かれた都立学校の卒業式総括集会では、処分の撤回を求める東京「君が代」裁判5次訴訟の原告らから、10・23通達から20年余り経過し「日の丸・君が代」強制に疑問を持たず、教員が思考停止状態に陥っている現場の実態が次々に報告された。 同会は都教委の一連の不誠実な態度を、次回2030年の国連自由権規約委員会第8回日本政府報告書審査にNGOレポートとして提出することも検討する。
永尾俊彦・ルポライター