「終活」という言葉が苦手 週刊誌の大特集、編集部は若い人が多いのだろうが…こんな記事ばかりやらされて楽しいのだろうか
で、結論は、帯にあるとおり、「やり残したことにケリをつけるのが、本当の終活だ」。
冒頭で書いたように、ぼく自身は「終活」という言葉は嫌いだし、やる気も全くないのだが、唯一、困るのが本の処分だ。
長年にわたって編集者を続けているから、本はそこそこ読んできた。
読んだ本が処分できないのだ。
それに、ぼくは、無類の雑誌好きで、好きな雑誌は創刊号から揃（そろ）っていないと嫌な性分なのだ。
雑誌が困るのは、平綴（と）じの雑誌だと、本棚に立てられないから、横に積むしかないことだ。家中、ことにぼくの部屋は、床に本や雑誌が積み上げてあり、大げさでなく足の踏み場もない。
ぼく自身はそれで、満足なのだが、カミさんがこう言うのだ。
「死ぬまでに一度くらい、すっきり片付いた家で暮らしたい」
これには弱い。
そうしてやりたい気持ちは十分にある。だから泣く泣く本や雑誌も3分の1くらいは処分した。
が、つい、また新しいのを買ってしまうのである。古書店や、古書目録で、目に飛び込んでくる。
「てやんでい、わが家はこれでメシを食ってるんだ！」
カミさんにそうタンカを切りたいが、言えない。（月刊『Hanada』編集長・花田紀凱）
