首輪爆弾から流れる強力電流を必死で回避! 『今際の国のアリス』の“げぇむ”に飛びこむ『イマーシブ・フォート東京』新アトラクションを体験
2010年、『週刊少年サンデーS』(小学館)にて連載開始した麻生羽呂による漫画作品『今際の国のアリス』。冴えない主人公・有栖良平(山﨑賢人)が、突然さま変わりした世界に飛ばされ、命をかけた“げぇむ”への参加を余儀なくされるというストーリーになっている。“げぇむ”に勝たなければ待つのは死。そこでアリスはさまざまな人物との出会いや死別を繰り返し、“げぇむ”が繰り返される世界の目的、そして生きる意味を考えていくという物語だ。 【写真】実際に体験できるデスゲーム 作品からはあのキャラクターも登場……? 2020年12月にはNetflixにて実写ドラマ化され、シーズン1、シーズン2とともに世界的に大ヒット。現在はシーズン3の制作も決定している。 今回は、そんな『今際の国のアリス』の世界を実際に体験できる場所があるという。さすがに作品通り命をかけるわけではないだろうが、だとしたらあの緊張感をどのようにして再現しているのだろうか。本作のファンでもある筆者が、実際に体験してみた。 ・肝となるアイテム“首輪爆弾” 今回訪れたのは、お台場にある屋内型テーマパーク『イマーシブ・フォート東京』。旧ヴィーナスフォートの跡地に建設され、2024年3月1日にオープンした。『イマーシブ・フォート東京』では、まるで作品の世界に入り込んだようなイマーシブ=没入感を体験することができ、来場者を巻き込んだ“参加型”のアトラクションが用意されている。 そこで7月19日に新たにオープンしたのが、『今際の国のアリス~Immersive Death Game~』だ。本アトラクションの企画・制作を手がけたのは株式会社刀。エグゼクティブ・ディレクターの近藤正之氏は、アトラクションのこだわりについてこう語った。「デスゲームならではの絶体絶命感、切迫感、大人数のパニック感が体験できます。一緒に体験するご家族やお友達、恋人が究極の状況に陥ったときにどういった行動をとるのかも楽しんでいただけたらと思います」。 まず来場者に渡されるのが、“首輪爆弾”だ。本アトラクションの肝であり、『今際の国のアリス』を視聴している人ならピンとくるアイテムだろう。『今際の国のアリス』に限らず、数々のデスゲーム作品でも定番であるこのアイテム。実際に自分の首に取り付ける日が来るとは思わなかった。 首輪の金属部分がちょうど首の後ろに密着するようになっており、そこから電流が流れるというしくみだ。1度取り付けると自力では外せず、横についている南京錠である3桁の数字を揃えないと解除ができない。 そしてこの電流は筆者の想像以上に強めの設定になっていた。実際に死ぬことはないものの、できることならクリアして避けたいと思いたくなるくらいの強さだ。 赤い光が灯った首輪をつけた人間が大量に収容されており、なかなか異様な光景だ。これからどんなゲームが始まるのか、少し緊張しつつも皆興奮した表情をしており、いままで味わったことのない空気を感じた。 すると急に参加者のなかから男が現れ、この世界のしくみ、そしてここは“ビーチ”と呼ばれる世界と通信が取れることを説明した。この“ビーチ”という単語。これもまた作品の視聴者からするとテンションが上がるポイントだろう。 そしてこの謎の男が首輪の説明をしたのにもかかわらず、無理やり外そうとして爆発させてしまった人が現れ、会場は一時騒然。こんな演出もデスゲームをよりリアルに実感できるポイントだ。 すっかりデスゲームの世界観に飲み込まれ始めたころ、こちらの世界と通信を取っているビーチの住人・帽子屋の姿が天井に写しだされ、参加者である我々に向かって『今際の国のアリス』の世界のルールを語りかけてくる。ドラマファンなら大興奮である帽子屋の登場だが、興奮冷めやらぬままついに“げぇむ”がスタート。細かいところだが、“げぇむ”のルールが記載されたフォントやアナウンスもドラマとまったく同じもので、本当に『今際の国のアリス』の世界にいま自分がいることを実感させてくれる。 今回筆者が参加した“げぇむ”は、制限時間内にスマホに転送されたカードと同じ絵柄を探し、下に書かれた数字を足して入力するというもの。同じ絵柄のカードは会場のどこかにあり、まずはそれを見つけだすのが重要だ。“げぇむ”の解説は非常にシンプルで、こちらが完全にルールを理解するのを待たず容赦なく始まるあたりも、作品の世界観そのものだ。 “げぇむ”がスタートしてからは一気に緊張感と焦りが高まり、各々が一斉にカードを求めて動き出す。ちなみにゲームオーバーになると首輪から電流が流れるのだが、先述したように想像以上の強い電流なので、本気でクリアして回避することを目指した。 しかしこの“げぇむ”、実はこんなシンプルなものではない。進めていくうちに二転三転と展開していくのだ。 大人数でプレイするこの“げぇむ”。その場に集められた知らない人と協力できるか、制限時間が迫っている状況でほかの人に手を差し伸べられるか。“げぇむ”では、時間も精神もどんどん削られるなか、“自分のクリア”と“他人を助ける優しさ”が天秤にかけられる瞬間が何度か訪れる。そのとき自分はどんな行動をとるのか、人間性を剥き出しにされる『今際の国のアリス』の世界が本アトラクションでは見事再現され、実際に現実で体験することができた。 機会があれば、ぜひ信頼している家族や友達、恋人と挑戦してみてほしい。究極の状況で追い詰められた自分、そして相手はどんな行動をとるのか目の当たりにできるだろう。
はるまきもえ