最近の株高はバブルではない-取り残されたハイテク株が示す
(ブルームバーグ): バブルを疑う投資家にとって、暗号資産(仮想通貨)の急騰や、エヌビディア株の80%近い上昇など、行き過ぎの兆候を見つけるのは難しくない。
しかし、根拠なき熱狂がウォール街を覆っているとしても、それは米株市場で最も投機的な一角である、不採算のテクノロジー企業には及んでいない。
通信ソフトウエア・メーカーのトゥイリオとサイバーセキュリティー企業のセンチネルワンは、大手ハイテク企業株の上昇によってナスダック100指数とS&P500種株価指数が史上最高値を更新したにもかかわらず、今年急落した銘柄だ。両社とも、米連邦準備制度の緩和的金融政策によって事実上あらゆるものが大きく上昇していた2021年のピークから70%以上下落している。
両社は例外ではない。ゴールドマン・サックス・グループがモニターしている、不採算のハイテク企業株の指数は今年18%下落し、今四半期は22年半ば以降で最悪の四半期になる見込みだ。
この落ち込みは、今年の大半の市場を駆け抜けた楽観主義に限界があることを示している。それは逆に、株価上昇はバブルではなく、堅調な業績や人工知能(AI)技術の躍進といった合理的な力に支えられたものだという見方を裏付ける。業界の最大手と共に上昇する代わりに、不採算のハイテク企業は、利益重視の投資家と、成長株のバリュエーションに依然として重くのしかかる金利上昇によって打撃を受けている。
ストーンXグループの主任マーケットストラテジスト、キャスリン・ルーニー・ベラ氏は「不採算のハイテク企業株の下落は、相場上昇がAIにあおられたバブルではないことを示している」と話した。
今年の相場上昇を受けて、株価が経済のファンダメンタルズに対して大きく先走り過ぎているのではないかとの議論が高まり、米連邦準備制度が投資家の期待通り早期に利下げを開始することに疑問符が付く中、過去2週間には上昇がほぼ止まっている。上昇の大きな部分はAIから利益を得られそうな大手ハイテク企業の上げによるものだ。