<アンチヒーロー>4人の脚本家による“チーム制”は成功したのか? ドラマPに聞く利点と課題
他にも「第2話のポップな感じは山本さんが得意。宮本さんは仕掛けを構築していくのが得意で、福田さんは圧倒的に構成がうまいというところをうまくパート分けができたと思っています」と手応えを語る。
ただし、「課題もいっぱいある」という。「お互いぶつかることはあまりないんですけれど、個々のレベルを上げた分だけ作品が良くなると思うので、もっともっと上げていく必要が今後はあるだろうし、会話の部分で、より人間同士の掛け合いのナチュラルさとか、自然に出てくる言葉をもっともっと磨いていかなくてはならないと思っています」
書く時間より話し合いの時間が長かったという。「10話あるので、どこでそれに気付くのか、構成するときに自分たちでツッコミを入れながら」作っていった。
「最初の接見の場面と最後の場面がどうつながるのか、緑川(木村佳乃さん)が緋山(岩田剛典さん)の容疑からどう動画につながっていくのか、(殺人の証拠の)作業服を赤峰(北村匠さん)が廃棄場で見つけ出したことにしようかなど、(要素の)組み合わせや構築はパスルのピースの埋め方の難しさを感じつつ、面白がりながら、ほころびが出ないように細心の注意を払って作っていった感じですね。そこは、4人の脚本家がいて良かった部分です」
◇“逆転パラドックスエンターテインメント”は達成できたのか
今作は「逆転パラドックスエンターテインメント」と銘打たれている。それは達成できたかと最後に尋ねた。
すると、飯田さんは「そこは達成できていると思います」と自信を持って答える。「最終回もそうなっていますし。先人が善意で残したとされる鑑定書のくだりで、結局そんなものはなかったというのは、このドラマらしい展開かなと(笑い)。伊達原的にはそこにほころびが一つあって、おそらく(なぜ気付かない?と)ツッコミが入るところだと思うんですよね。でも、そのツッコミをちゃんと返す構成になっています。そんなふうにツッコミながら、返されながら、見ていただけると楽しいんじゃないかなと思います」とメッセージを送った。