現役時代手取り「30万円」はありましたが、年金もそのくらい受け取れると思っていていいですか?
「現役時代の手取りと同じくらい年金ももらえるだろう」そう考えていませんか? 実は、現役時代の手取り収入と年金の支給額は、同じになるとは限りません。 そこで、現役時代の手取り30万円の方が受け取れるであろう年金の額について考えてみました。
現役時代ずっと手取り30万円でも、年金は30万円ももらえない
会社員として厚生年金に加入して働いてきた場合でも、残念ながら現役時代の収入に比べて、受け取る年金はかなり少なくなってしまうようです。 実際のところ、どれくらいになるでしょうか。現役時代の手取り収入が平均して毎月30万円(額面は38万円とする)の方が、将来受け取るであろう年金を、公的年金シミュレーターにて、下記条件で試算してみます。 ●1964年10月1日生まれ ●現役時代の平均収入は額面38万円、賞与は年3ヶ月分で、年収570万円と想定 ●22歳から59歳の間に就労 ●20歳から21歳は、学生として国民年金に加入(付加納付有) すると、65歳から受け取ることのできる厚生年金の額は、191万円となります。月額換算では16万円程度となります。手取り30万円であった現役時代の収入と比べると、半分程度になってしまうことが予想されます。 現役時代の手取り金額がいくらであるかに関係なく、年金は現役時代の手取り額ほどは得られない、と考えておくべきでしょう。 なお、実際に手取り30万円を得られていた時期が、現役世代のうち一部の時期だけであった場合、さらに年金額は小さくなることになります。
年金額16万円で老後は生活できるのか
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要」によれば、令和4年度の65歳以上の単身無職世帯における月々の支出は、15万5495円となっています。 ここから、現役時代に平均して手取り30万円の収入を得つづけていた人でも、単身者であればギリギリ生活できる年金水準になりそうだと予想されます。 また同調査によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、月々の支出は26万8508円です。夫婦共働きでそれぞれが手取り30万円近い収入を現役世代の平均収入で得ていれば、老後も夫婦で年金のみで暮らしていくことができそうです。しかし、一方が配偶者の扶養に長期間入っていたなどすると、生活は苦しいものとなってしまいそうです。 いずれにせよ、老後は統計にあるような水準で生活したいのであれば、1人当たりの年金月額16万円はギリギリの金額となります。 手取り30万円といえばそれなりに高収入と思える金額ではありますが、それでも老後の年金額は高額とまではいえないようです。