“二番強打者論”を生かすも殺すも指揮官の眼力次第だ【張本勲の喝!!】
理に適った選択であれば「二番強打者論」も生きる
筒香に二番を打たせることには大反対だ
今季は「二番打者」に大きな注目が集まった。巨人・坂本勇人、DeNA・筒香嘉智、日本ハム・大田泰示など、従来のつなぎのイメージとは違い、長打力があり打率も高い三・四番タイプのバッターが二番に置かれたからだ。 「二番強打者論」というとアメリカから伝わってきたものだと思っている人がいるようだが、これまでに何度も書いているように最初に唱えたのは西鉄監督時代の三原脩さんだ。近年はアメリカでも二番に強打者を置くことが増えているが、かつてベーブ・ルース(元ヤンキースほか)が三番を打っていたように、もともとは最強打者を三番に置く傾向があった。 二番に強打者を置くこと自体に是非はない。三原さんが率いていた当時の西鉄は二番に強打の豊田泰光さんを据えていたが、それは三番にホームラン王を5度獲得した中西太さん、四番にホームラン王と首位打者にそれぞれ3度輝いた大下弘さんという不動の存在がいたため、豊田さんを持っていく打順がなかったからという側面もある。 今年の巨人にも同じことが言えるだろう。三番にFAで移籍してきた実績十分の丸佳浩を据え、昨季3割30本100打点をマークした岡本和真を「巨人の四番」に育て上げる意味もあって四番に固定した。すると坂本を持っていくところがない。一番ではもったいないし、五番というタイプではない。今季は40本近くのホームランを打っているが、本質的には中距離バッターだからだ。ゲレーロあたりが五番に座っていたほうが相手にとってはよほど気味が悪い。そうなると坂本には二番という打順が的確になる。今季の巨人打線においては、もっとも理に適った選択なのだ。 日本ハムの「二番・大田」も同様だ。三番には確実に打率3割が期待できる巧打の近藤健介がいて、ステップの歩幅が広過ぎてバッティングが崩れていたとはいえ、四番の中田翔はやはり不動の存在だ。三・四番がしっかりしていれば、強打の大田を二番に置くことによってさらに打線の迫力が増す。 だが・・・
本文:2,455文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
週刊ベースボール