【インタビュー】広島・床田寛樹 勝ちたい、ただそれだけ「いいときも悪いときも経験させてもらっているので、そこはやっぱり大きい」
成功体験を力に
床田寛樹[投手/29歳/左左/8年目]
【それ行けカープ 勝利の雄叫びを上げろ!】 2年連続の2ケタ勝利は、リーグ最速での到達だった。しっかりと試合をつくって、勝利を呼び込む左腕。先発投手としての役割を全うする中で着実に“目指すべきところ”に近づいている。 取材・構成=菅原梨恵 写真=BBM マウンドでの左腕を見る周囲の目が、だんだんと変わってきた。漂う安心感は、試合をつくり続けてきたからこそ。先発投手陣の柱の一人としてどっしりと構え、期待を大きく裏切るような投球は決してしない。それが今の床田寛樹だ。 ──チームの残り試合も30を切りました。 床田 毎年、(シーズンが)終わってみたら早いなと思うんですけど、意外に残り何試合って気にし出してから長く感じるんですよね。だから、あまり気にしないようにはしています(笑)。今季はいいときと悪いときの差があまりない。試合を壊すということもないので、ここからも安定して投げられたらなと思います。 ──以前、「夏場は苦手」と言っていましたが、昨季、今季も粘り強く投げられていた。苦手意識もなくなったのでは? 床田 どうなんですかね。昨季も確か1回やられたぐらいでそこまで悪くはなかったんですけど、結局、後半戦で何勝何敗って見られてしまうので。そういう意味では今季もたぶん夏に弱いって言われるんじゃないかなと(笑)。内容的にはシーズンを通じて、そんなに変わってはいないんですけどね。 ──自身の中では前半戦、後半戦で特別、変わったところというのはないですか。 床田 ヒットは打たれるようにはなってきましたけど、完全に打ち込まれたという試合はないので。1点で抑えられていたのが2点取られるようになったぐらい。あとは、イニングが減った(苦笑)。でも、そんなガクッと落ちているわけではないので、そこまで変わったというわけではないかなと思います。 ──以前から「長いイニングを投げたい」という話をされていて、まず目標として掲げていたのが2ケタ勝利と規定投球回でした。それを昨季、初めてクリアできた。今季を迎えるにあたって、そこにプラスして自分に求めたものというのは何かありましたか。 床田 もう1回、2ケタ勝つというのと、160イニング以上投げたいなと。やっぱり(先発)ローテーションを空けずに1年間それなりにイニングを投げられたら、160ぐらいはいけるんじゃないのかなと思って。今季はここまで飛ばずに(出場選手登録を抹消されずに)来ているので、たぶんいけるとは思いますね。 ──先ほど自身で言われていた「試合を崩していない」というのが、今季の床田投手の特長です。一つの指針としてはクオリティースタート(QS/先発で6回以上投げて自責3以下)が21試合のうち20試合。ハイクオリティースタート(HQS/同7回を投げて自責2以下)も15試合あります。長いイニングを失点少なく来られている要因は? 床田 なんだろうなー。勝負どころでの投げミスが減ったんじゃないかな、というのは思いますね。あとは何か、そこまで慌てなくなったというか。後半戦に入ってから特に結構ヒットも打たれるようになって、ランナーを背負う場面も多いんですよ。でも、何か「ヤバいな」という気持ちはなくて、「このバッターを打ち取ればいいや」みたいな余裕を持って投げられているのが、試合をしっかりつくれている要因なのかなとは思います。 ──その“余裕”というのは、これまでの経験から来るものなのでしょうか。 床田 そうですね。昨季初めて2ケタ勝って、今季も開幕当初からいい感じにずっとやれてきた。やっぱり成功体験が増えてから、ある程度「こういう感じでもいいのか」という、いろいろな引き出しが増えて、そこからまた余裕ができて、という感じですかね。 ──投げミスというところでは今季、変化球の球種を増やしました。投球の幅が広がったことも影響している? 床田 昨季までは「困ったらツーシーム一択」みたいな感じだったんですけど、今年は・・・
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週刊ベースボール