「病院の郵便ポストからチケットを送る」「当事者としてバリアフリー環境を確認」…障がい持つ人の旅行支援 難病抱える代表の思い
櫻井代表の活動についてSchoo エバンジェリストの滝川麻衣子氏は「2つの観点で素晴らしい」と絶賛した。 「まず、難病当事者である櫻井代表ご自身が現地に実際に足を運び、旅館の方達に助言をしながらスムーズな旅行を実現されている点だ。当事者でなければ気付けない点も多いだろう」 「もう一つは、福祉の領域ではなくて、ビジネスとして実行しているところだ。福祉はどうしても『税金を使って予算内でやりましょう』という話になりがちで、クラウドファンディングも“1回限り”になりがちだが、ビジネスとなることで持続可能性が高まる」 実際のところ、障がいを抱えている人は旅行をしているのだろうか? 観光庁が実施した調査によると「国内宿泊旅行はしていない」が最多の25.8%、次いで「1年に1回程度」が19.2%という結果に。 また「不便が解消されたら(旅行の)頻度はどうなりますか?」という問いには「増加しない」と答えた人が57.3%。その理由としては「時間に余裕がない」「現状で特に困っていない」などと共に「経済的な理由」という声があった。 この「経済的な理由」について滝川氏は「障がいを持っている人は就職のハードル、治療を受けながら働くハードル、職業選択におけるハードルなどが生じることがあり、結果的にバリバリ働くことが難しい」と現実を見つめながらも「ここで重要なのは、この課題を福祉でカバーするだけでなく、櫻井代表のように『採用されるのが難しいなら起業しよう』という発想の転換だ。テクノロジーの進化によってオフィスに出社しなくても、できることも増えている。起業に限らず、キャリアの選択肢が10年前、20年前よりも増えているのだ」と述べた。
櫻井代表の事業は高齢や障がい等の有無にかかわらず、すべての人が安心して楽しめる旅行=ユニバーサルツーリズムと通じる。 現在、ユニバーツーサルリズムは「専門的な知識の習得、人材の確保ができず商品を造成できない」「旅行参加に必要な介助者が確保できない」「バリアフリー対応の観光施設の情報が不足・不充実で商品を造成できない」などの理由で旅行会社の71.2%が取り扱っていない。 この点について滝川氏は「ユニバーサルツーリズムは障がいを持っている方だけでなく、『対高齢者』という観点でも注目するべきだ」と指摘する。 「日本人の4人に1人は高齢者であり、今後高齢化はさらに進む。つまり、人口減少でシュリンクしていくマーケットの中でも高齢者はポテンシャルの高いマーケットなのだ。この市場はインバウンドのように為替や政治的背景にも左右されない。さらに高齢者はお金を持つだけでなく、週末など現役世代が集中する時期を避けることができる、という点でも魅力なのだ」 (『ABEMAヒルズ』より)