センバツ高校野球 豊川、吉報に雄たけび 愛工大名電も「よし!」 /愛知
26日に行われた第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の選考委員会で、いずれも愛知県の豊川が10年ぶり2回目、愛工大名電が12年ぶり10回目のセンバツ出場を決めた。一足早い春の吉報が届いた両校のナインは歓声を上げ、何度もガッツポーズして喜びを表した。大会は3月8日に組み合わせ抽選会があり、同18日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち ◇「校歌歌えるよう」10年ぶり 「よっしゃー」。午後3時50分すぎ。豊川のセンバツ出場決定が発表された瞬間、愛知県豊川市の同校会議室で選考委員会のライブ中継を見守っていた選手たちは雄たけびを上げて喜びを表した。 石田潤校長は「本当によく練習してきたと思う。練習、実力、学校生活、全てが評価されての甲子園出場です」と祝福。続けて「2カ月しっかり鍛えて思い出に残る甲子園になるよう頑張ってください」と選手たちを激励した。 昨年7月に結成したチームを引っ張ってきた主将の鈴木貫太(2年)は「出るからには勝って全員で校歌を歌えるように2カ月頑張っていきたい」と気を引きしめていた。 選手たちはグラウンドに移動し、長谷川裕記監督を胴上げ。3番としてチームの打撃を支えるモイセエフ・ニキータ(2年)は「もう一段レベルアップをして甲子園に臨みたい。ホームランだけでなく打率も残したい」と決意を新たにしていた。 初出場した2014年センバツでは4強入りし豊川フィーバーを巻き起こした。長谷川監督は「10年前も意識はするが、これまで通り目の前の試合に集中して一戦一戦戦っていきたい」と力を込めた。【塚本紘平】 ◇頑張る幼なじみ「輝いて見えた」 号外配布 豊川のセンバツ出場決定の発表と同時に、校舎には「祝選抜高校野球大会出場」と書かれた懸垂幕(長さ8メートル・幅90センチ)が掲げられた。幕が下りると、見守っていた生徒から大きな歓声と拍手が起きた。 配布された毎日新聞の号外を手にした同校ダンス部の尾崎杏さん(2年)は山本羚王(2年)の幼なじみ。「東海大会の試合をネット中継で見ていた。頑張っている幼なじみが輝いて見えた。甲子園では現地で精いっぱい応援したい」と喜んだ。 主将の鈴木貫太の母紀美代さん(50)は「とにかくうれしい。大会まで練習に力を入れながらキャプテンとしてチームを一つにまとめてほしい」と話した。【森田采花】 ◇愛工大名電も「よし!」 春の王者目指す 12年ぶり 名古屋市千種区の校舎内ランチルームに集まった愛工大名電ナイン。それぞれがタブレット端末やスクリーンに映し出された選考委員会のライブ配信を見つめる中、学校名が読み上げられると、選手たちは「よし!」と声を上げ、抱き合って喜んだ。 中庭に移動した選手たちに倉野光生監督が「約2000人の生徒の応援を力に変えて戦おう」とエールを送った。選手の保護者やOB、教職員らも駆け付ける中、選手たちは指揮官を胴上げした。 主将の山口泰知(2年)は「幼い頃から憧れてきた舞台に立つことが決まって幸せ。走攻守の全てを強化する」と表情を引き締めた。昨秋の県大会優勝と東海大会準優勝に貢献したエースの大泉塁翔(るいが)(2年)は「体力をつけて直球、変化球も磨き、昨年とは別人と思われるような投球がしたい」と抱負を述べ、1年夏から甲子園を経験している石見颯真(2年)は「自分がチームを引っ張る」と言い切った。 チームは夏の愛知県大会を3連覇中で、甲子園は夏春連続の出場だ。「センバツに出るだけでなく、勝ち残るのが愛工大名電だ」。倉野監督がそう語るように、ナインが目指すのは2005年以来19年ぶりの春の王者だ。【黒詰拓也】 ◇8メートル懸垂幕掲げ、校内祝福ムード「優勝目指して」 愛工大名電の校舎には「祝選抜高校野球大会出場」と大書きされた懸垂幕(長さ8メートル・幅90センチ)が掲げられ、校内は祝福ムードに包まれた。 同校情報デザイン部の西脇昂輝さん(1年)は「同じ学校の仲間が全国の舞台を決めてすごい。ここまで頑張ってきたのだから優勝を目指してほしい」とエールを送った。保護者らで作る「父母会」は新調された「闘魂」の文字が入った横断幕を初披露して喜びを分かち合った。 毎日新聞社はセンバツ出場を伝える号外1000部を同校で配布。外野手・森梨稀(2年)の父浩二さん(54)は「久しぶりの出場なので一つでも多く勝ってほしい」と笑顔を見せていた。【川瀬慎一朗】