清原果耶 × 藤井道人 監督が語る アミもまた旅の途中『青春18×2 君へと続く道』
「映画」という旅もまだまだこれから
池ノ辺 これは皆さんにお聞きしているんですが、監督にとって映画って何ですか。 藤井 自分が映画を作る時には映画は鏡だと思って作っていて、それは時代の鏡だったり、自分自身の鏡、そしてその反射で観客と対話するようなものだと。ただ、自分にとって映画というのは、今回のこの映画じゃないですけど旅のようなものかなと。出会って別れて、でも自分は、この映画という一本の人生に乗っかっていて、先のことはわからないですが、そこに身を任せるということを決めた。そんな自分の人生を誇りに思いたいと、最近ようやく思えるようになってきました。 池ノ辺 今まではそうではなかったと? 藤井 20代は、もう邪悪で、邪念がいっぱいでしたよ(笑)。売れたいし結果が欲しい。でもそう思っている時って一番うまくいかないですよね。目的が不純。しかも、今はこれが当たるとか、これがいい映画だとか定義すればするほどドツボにハマる。今は、「ダメだ」と言われても、「ごめん、でも一生懸命やったんだよ」と、返せるようになってきました。自分のために撮っているけれど、ちゃんと観客のことも思って映画が撮れている。そういうふうに思えるようになってから楽になりましたね。 池ノ辺 今までは突っ張って、突っ走ってきて、ガムシャラな感じだったんですか。 藤井 確かに、誰かに言われたら「うるせー」みたなところがあったと思うし、うまくいかない自分の現状を、他人とか時代のせいにしていた部分もあったと思います、でも今は、自分が求められていることに対してしっかり球を打ち返せるかと、考えられるようになったかな。そう思えるようになったのは最近のこと、もしかしたらこの映画を撮り終えてからかもしれないですね。 自分たちが何のために映画を作っていたのかわからなくなる時期ってあると思うんですけど、今回、海を越えた仲間たちと映画を撮った時に、モノづくりってこんなに楽しい、これで僕はお金をもらえているんだと、すごく恵まれていることを実感しました。それだけでも幸せなのに、これ以上何を欲張ってたんだと、この旅から帰ってきて思うようになったし、そこから肩の力が抜けたんじゃないかなと思っています。 池ノ辺 監督の人生の第2章が始まったと伺いました。楽しみじゃないですか。 藤井 どうなるんでしょうね。 清原 私も混ぜてください。 池ノ辺 私も行きますよ。 藤井 わかりました(笑)。 池ノ辺 では最後に、清原さんにとって、映画って何ですか。 清原 本当に出会いって奇跡だし、一期一会ってあるなと私は思うタイプなんです。その時々で作品や役に出会うわけですが、出会うこと、出会えることって恵まれていると思います。俳優という仕事をしている自分の人生において、映画というのは本当に大切な存在だし、そこで成長していけたらと思うし、この先も向き合っていきたい。そう思えるものが私にとっての映画ですね。抽象的になってしまいましたが。 池ノ辺 今のお話って、今回の映画の主人公の思いにシンクロしているように感じたんですが。 清原 そんなふうに混ざり合いながら役と向き合うのはすごく楽しいですね。そういう役に出会えるということも大事にしたいし、そう言っていただけるのは嬉しいです。 池ノ辺 ますます楽しみですね。これからも応援してます。
インタビュー / 池ノ辺直子 文・構成 / 佐々木尚絵
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